ピアノ、ウード、トランペットによる静かで典雅な地中海音楽

Tania Giannouli - In Fading Light

ギリシャのピアニスト、タニア・ジャンノウリ 変則ピアノトリオ新譜

ギリシャのピアニスト/作曲家、タニア・ジャンノウリ(Tania Giannouli)がトランペット奏者アンドレアス・ポリツォゴプロス(Andreas Polyzogopoulos)とウード奏者キリアコス・タパキス(Kyriakos Tapakis)という変則ピアノトリオで制作した2020年作『In Fading Light』は、ジャズとクラシックの境界線に静かに香る地中海の空気のような感覚をもった作品だ。

(1)「Labyrinth」は繰り返されるピアノの左手の音型の上で、エフェクティヴなウードと、北欧のアルヴェ・ヘンリクセンの音色を彷彿させるトランペットが織りなす風景画のような世界観が魅力的。

アルバムは全体的にピアノの古典的でアンビエントな表現と、ウードによるアラビア音楽のエッセンス、そして即興を軸にしたトランペットによるヨーロッパ・ジャズの交わりにより独特の繊細で典雅な響きに満ちている。日常生活の外、どこか遠い世界への憧憬を感じさせられる音楽だ。

(6)「Bela’s Dance」のライヴ演奏動画。


ピアニストでバンドリーダーのタニア・ジャンノウリは1977年生まれ。クラシックピアノや音楽理論、作曲を学び、即興演奏をも自身の音楽に取り入れてきた。

2012年に木管奏者のパウロ・シャガス(Paulo Chagas)とのデュオでデビューアルバム『Forest Stories』をリリース。これまでに今作を含む4枚のアルバムをリリースしている。

今作のピアノ、トランペット、ウードという変則ピアノトリオは、2018年のジャズフェスト・ベルリンで初めて披露。米ダウンビート誌は彼女らの音楽を「疾走感のある魅力的なメロディーだ…まるでマンフレート・アイヒャーの地中海の休日の夢のように」と表現している。

(1)「Labyrinth」のライヴ演奏。

Tania Giannouli – piano
Andreas Polyzogopoulos – trumpet
Kyriakos Tapakis – oud

Tania Giannouli - In Fading Light
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