ジャズトロンボーン×オーケストラで描く、珠玉のミルトン・ナシメント曲集

Flores, Janelas e Quintais

ミルトン・ナシメントを讃えるジャズオーケストラ作品

ブラジルのオーケストラ、オルケストラ・ド・エスタード・ヂ・マット・グロッソ(Orquestra do Estado de Mato Grosso)が、ソリストにジャズトロンボーン奏者のヴィトール・サントス(Vittor Santos)を迎え録音した珠玉のミルトン・ナシメント曲集『Flores, Janelas e Quintais “Homenagem a Milton Nascimento”』

ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento, 1942年 -)の音楽はブラジルのみならず、世界中のリスナーやアーティストを魅了し、音楽の美的価値観に革命をもたらし続けてきた。独特の感性から生まれたリズム、ハーモニー、メロディーは今日でも瑞々しい輝きを放ち、ミルトンが表舞台に立って半世紀が過ぎようとする現在でも未だに彼のような音楽を創り出すことができるミュージシャンがいないことで、その価値はますます特別なものになっている。

ポップスのオーケストラ・アレンジというと、とかく大袈裟で凡庸で安っぽい仕上がりになりがちだが、この作品に限っては逆にミルトン・ナシメントの類まれな才能を改めて証明しているように思う。(2)「Nos Bailes da Vida」や(3)「Travessia」など、原曲のメロディーの美しさをそのまま引き立てつつ、背景にある音楽的な豊かさや複雑さを埋没させることなくアレンジの核にすることでミルトン・ナシメントの魅力を最大限に引き出しているように感じる。
おそらく、さまざまなジャンルを演奏してきたオーケストラの経験値や技量と、編曲やソロを担当するトロンボーン奏者ヴィトール・サントスの職人的なセンスの賜物だろう。

(3)「Travessia」

オルケストラ・ド・エスタード・ヂ・マット・グロッソ(マットグロッソ州立オーケストラ)はマットグロッソ州政府によって2005年に創立したオーケストラで、ブラジル各地で公演を行い、これまでに17枚のアルバム、4枚のDVD作品などブラジルの音楽文化に貢献をしてきた。オーケストラは2018年に活動を終了したが、2020年末にリリースされた今作は2016年に録音されたものとのこと。
オーケストラはバンドリンの名手アミルトン・ヂ・オランダ(Hamilton de Holanda)と共演した『Alegria』では「スーパーマリオ・ブラザーズのテーマ」も演奏するなど、意欲作を多数発表している。

今作でオーケストラの編曲とトロンボーンのソリストを務めるヴィトール・サントスは1965年リオデジャネイロ州生まれ。トロンボーンは独学で、十代の早いうちからプロとして演奏や編曲を行ってきた。特にジャズのビッグバンドでその名が知られており、1985年から1992年まで活動したオルケストラ・ヂ・ヴィトール・サントス(Orquestra de Vittor Santos)、1993年から1994年のイン・コンサート(In Concert)などでの功績は大きい。

(7)「Clube da Esquina 2」

Vittor Santos – trombone

Orquestra do Estado de Mato Grosso :
Leandro Carvalho – conductor

Flores, Janelas e Quintais
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