心揺さぶるセンバの巨匠パウロ・フローレス、アンゴラ独立45周年を祝う新譜

Paulo Flores - Independência

アンゴラ・センバの巨匠、パウロ・フローレス新譜『Independência』

勇壮なアフリカのリズムと旋律、ブラジル音楽をも思わせるサウダーデ(郷愁)、おおらかな優しさを持つ声が一体となった極上のアフリカン・ポップスがここにある。アフリカ南西部に位置するアンゴラ共和国を代表するシンガーソングライター、パウロ・フローレス(Paulo Flores)の新譜『Independência』

力強いアフロビートに洗練されたハーモニー、そしてブラスが絡む(1)「Heróis da Foto」がいきなり名盤を予感させる。続く(2)「Bem-Vindo」はポルトガルのファドを思わせる哀愁のこもった曲で、ディオゴ・グアナバラ(Diogo Guanabara)のマンドリンが印象深い。曲はずっと短調で進行するがラストで突如長調となり、視界がぱっと開けるような感覚がある。

(4)「Si Bu Sta Dianti na Luta – Xica Feia」ではアンゴラ同様にアフリカでは数少ないポルトガル語を公用語とするギニアビサウ出身のSSW、マネカス・コスタ(Manecas Costa)をギターと歌でフィーチュアしており、歌われている曲はギニアビサウの伝説的SSWジョゼ・カルロス・シュワルツ(José Carlos Schwarz, 1949 – 1977)とアンゴラのSSWボンガ(Bonga)の曲のメドレーとなっている。

(6)「Amanhã」では2020年作『A Bênção e a Maldição』で共演したアンゴラのラッパー、プロディジオ(Prodigio)と再共演。同曲と(7)「Njila ia Dikanga」ではアンゴラのセンバ歌手ユリ・ダ・クーニャ(Yuri da Cunha)とも共演している。

タイトルにあるように、本作は1975年11月11日にポルトガルから独立したアンゴラの独立45周年を讃え、祝うアルバムだ。アンゴラの伝統的なスタイルであるセンバ(semba)を軸に、“人々の心に触れる”と評される豊かな情感の歌声が心地よい。

(5)「Jeito Alegre de Chorar」
ユリ・ダ・クーニャとの共演の(7)「Njila ia Dikanga」

パウロ・フローレス(Paulo Flores)は1972年、アンゴラの首都ルアンダ生まれ。アンゴラの人々の生活、戦争、政治の腐敗といったテーマを扱ったセンバ(アンゴラの伝統音楽)のシンガーソングライターとして同国を代表するミュージシャン。1988年に『Kapuete Kamundanda』でデビュー、以降20枚近くのアルバムを発表している。

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