心の傷を癒す美しいピアノと歌。デリア・フィッシャー新譜『Hoje』

Delia Fischer - Hoje

デリア・フィッシャー、ピアノと歌の最新作『Hoje』

ブラジルの歌手/ピアニストのデリア・フィッシャー(Delia Fischer)がほぼ全編ピアノと歌のみで録音した2021年新譜『Hoje』がリリースされた。タイトルの意味は“今日”。もしあなたが先の見えない世の中で窮屈な日々に疲れていて、心が浄化されるような音楽を探しているのであれば、これは間違いなくおすすめできる作品だ。どの曲も静かに情熱を燃やすピアノと真っ直ぐで美しい声があり、さらにはパンデミックによって表現の場を奪われてきたアーティストによる魂の叫び、そして確かな希望の含蓄がある。

タイトル曲(3)「Hoje」はブラジルで60年代から活躍したSSW、タイグァーラ(Taiguara)の楽曲。

全9曲中、デリア・フィッシャーによる自作曲は2曲で残りはカヴァー。
ブラジルの古い曲のほか、ビョーク(Björk)の(5)「Jóga」やレノン&マッカートニーの(8)「In my life」といった意外な選曲も。特にビョークの個性的な曲はカヴァーするには難しいが、ここではピアノと声で見事に違和感なくデリア・フィッシャーの音楽観に溶け込んでいる。

男性ヴォーカリストとのデュエットも3曲。
マチアス・コレア(Matias Correa)と歌う(2)「Meu Mundo e Nada Mais」はギリェルメ・アサンチス(Guilherme Asantes)による最初のヒット曲で、ローリング・ストーン誌によってブラジル史上最高の100曲にも数えられている名曲。
ラストのデリア・フィッシャー作曲の(9)「Blues de Acabar」は強い意志を感じさせるピアノに乗せて、ブラジルが誇るカウンター・テナー歌手ネイ・マトグロッソ(Ney Matogrosso)との素晴らしいデュエットを聴かせてくれる。

感動的なまでに美しいフラヴィオ・ヴェントゥリーニ(Flávio Venturini)&ムリロ・アントゥネス(Murilo Antunes)作の(6)「Nascente」、そして稀代のメロディメーカー、イヴァン・リンス(Ivan Lins)の(7)「O Amor É o Meu País」も素晴らしい。

イヴァン・リンス作曲の(7)「O Amor É o Meu País」のMV。
コロナ禍のミュージシャンの生活を反映したヴィデオには、当のイヴァン・リンスも出演している。

デリア・フィッシャー(デリア・フィッシェル)は1964年リオデジャネイロ生まれ。
1988年にクラウヂオ・ダウエルスベルグ(Claudio Dauelsberg)とのピアノデュオ「Duo Fenix」を結成し、ビレリ・ラグレーンをゲストに迎え話題となった『Karai-Etê』など何枚かのアルバムをリリースした後、1999年にエグベルト・ジスモンチ主宰のレーベル、カルモ(Carmo)から初のソロ作『Antonio』をリリース。その後はクラシックを礎としたジャズピアニストとして築き上げてきた自身のキャリアに魅力的な“歌手”という肩書きも付け加えてきた。

ネイ・マトグロッソと共演した(9)「Blues de Acabar」

Delia Fischer – vocal, piano
Matias Correa – vocal (2, 6), contrabass
(2, 6, 8)
Ney Matogrosso – vocal (9)

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