名アレンジャーのフィリップ・ラシター、ファンキー&ポップな新譜
プリンスのホーン隊、NPG Hornzの元メンバーで米国LAを拠点に活動するトランペット奏者/作曲家フィリップ・ラシター(Philip Lassiter)の新譜『Live in Love』はファンク、ジャズ、レゲエ、ヒップホップ、R&Bといった要素が散りばめられ、ポップに仕上げられた良作だ。
今作では多数のヴォーカリストを迎え、多彩な音楽を展開。特に歌に絡むファンキーで絢爛なホーン・セクションのアレンジは聴きどころで、ホーン・アレンジャーとしてアメリカの音楽界に貢献してきたフィリップ・ラシターの真骨頂が発揮されている。
社会的な皮肉を含んだ(1)「Make America Love Again」、ファンキーなリフレインが印象的な(3)「Sugar Coat Me」、妻で歌手のJosjeが歌うレゲエ・ナンバー(4)「Take a Little Time」、J.ホアード(J. Hoard)の歌唱も素晴らしい(7)「Love Story」などどれも一級品で、ゲストも多彩、ジャンルも多岐にわたるが全体的にホーン・セクションを中心にまとめられており、これぞアメリカの大衆音楽といった魅力がある。
ホーンセクションの名アレンジャー、フィリップ・ラシター
アラバマ州出身のフィリップ・ラシターはプリンス(Prince, 1958 – 2016)のバックバンドのホーン隊(NPG Hornz)でリーダーを務めて以来、特にファンクの分野で大きな功績を残してきた。
これまでにカーク・フランクリン(Kirk Franklin)、アリアナ・グランデ(Ariana Grande)、ファンタジア(Fantasia)、ケリー・ローランド(Kelly Rowland)、ジル・スコット(Jill Scott)、フレッド・ハモンド(Fred Hammond)、アル・ジャロウ(Al Jarreau)、アンソニー・ハミルトン(Anthony Hamilton)、レデシー(Ledisi)、レジーナ・ベル(Regina Belle)、ティンバランド(Timbaland)など楽曲のホーンセクションのアレンジを担当、8度のグラミー賞受賞に関わっている。
2012年からソロ活動を開始し、14人編成のバンドであるフィルシー(Philthy)やフィリップ・ラシター・アンド・ザ・ダラス・オールスターズ(Philip Lassiter and the Dallas Allstars)、自身名義での作品を多数発表している。