サックス奏者Shahar Amdor、素晴らしいデビュー作
イスラエル出身の若手サックス奏者シャハル・アムドール(Shahar Amdor)のデビュー作『Cassiopeia』は、ギターに若手No.1のニツァン・バール(Nitzan Bar)、シャハル同様にバークリーで学んだベーシストのナダフ・ラヴィ(Nadav Lavie)、ここ数年で頭角を表してきたドラマー、ニツァン・バーンバウム(Nitzan Birnbaum)という布陣で録音されたイスラエル・ジャズシーンの要注目作だ。
収録の7曲すべてがシャハル・アムドールの作曲。即興演奏の余地を充分に残したコンポージングはこのメンバーだからこそかも知れない。メンバー全員がソリストとしても強烈な個性で目立っているため演奏ではどことなく埋もれがちなリーダー、シャハル・アムドールのサックスも多彩な音色で表現力抜群。これまでまったく知らなかった名前だが、“彗星の如く登場”とはまさしく彼のためにある言葉のように思える。
そしてやはり、ギターのニツァン・バールのソロの凄まじさ。音色、技術、フレーズの独創性どれをとっても絶品。まだまだ知名度は低いかもしれないが、ラストの(7)「The Easy Way to Get Away」でのソロの暴れっぷりと、他メンバーへの火の付け方などを聴くと次代のジャズギターを担うのは彼だと断言したくなる。
創造的なプレイを聴かせるドラムスのバーンバウム、低音をしっかりと支えながらも美味しいフレーズを連発するベースのナダフ。即興演奏のクオリティだけでなく、エフェクターを活用した音作りにも徹底的にこだわるこのカルテット…聴きどころは満載だ。
シャハル・アムドール(Shahar Amdor)はテルアビブ出身。
テルマ・イェリン国立芸術高校、国防軍のミュージシャン育成コース、リモン音楽学校そして提携するバークリー音楽大学へ留学(在学中)という現在のイスラエルジャズシーンのエリートコースを歩む。
新世代ジャズの人材豊かなイスラエルにおいて、最も注目しておくべき存在のリストの上位に加えておくべきアーティストだ。
Shahar Amdor – tenor saxophone, composition
Nitzan Bar – guitar
Nadav Lavie – bass
Nitzan Birnbaum – drums