イスラエルジャズの次代を担うギタリスト、ニツァン・バール

Nitzan Bar - The Scratch

イスラエルジャズの次代を担うギタリスト

10代の頃から“神童”と持て囃され注目されてきたイスラエルのジャズギタリスト、ニツァン・バール(Nitzan Bar)『The Scratch』は現代的な感覚に溢れたもっと注目されるべきジャズギター作品だと思う。

アルバムはさまざまな現代ジャズの影響を受けた過去3年間のオリジナル楽曲によって構成されており、イスラエルをはじめとする世界レベルのミュージシャンたちが参加して録音されている。

アルバムのハイライトは(3)「Another Source」や(5)「T Song」だろう。
前者はシンセギターで奏でられるイントロも印象的なトリッキーなジャズ。
そして後者はヘブライ語の女性ヴォーカルが参加したジューイッシュ・ポップな楽曲だ。

(3)「Another Source」のライブ演奏動画。
ギターシンセを用いた印象的なイントロに導かれる。

ニツァン・バールはイスラエルジャズの先駆者的ギタリスト、ギラッド・ヘクセルマン(Gilad Hekselman)や、ロテム・シヴァン(Rotem Sivan)らのように今後大きな注目を浴びるアーティストだろう。

卓越した音楽一家に育った神童

ニツァン・バールは1998年生まれ。
兄でピアニストのトメル・バール(Tomer Bar, 1994年 – )は14歳でデビューアルバム『Reflections』をリリースしている。兄弟揃って神童である。

彼ら兄弟の父親、アチャ・バール(Atcha Bar)もプロのギタリストで、おそらく幼少時から厳しい教育が施されていたのだろうと思う。12歳のニツァン・バールが父の伴奏をバックに圧倒的なテクニックでジャズ・スタンダード「Donna Lee」を弾きこなす動画では、世界中の多くの大人ギタリストたちが感嘆、あるいは現実を受け入れられずにそっと目を背けた [要出典]

余談だが、アイヌ文化と日露戦争をテーマに描かれた絶賛大ヒット中の漫画『ゴールデン・カムイ』のヒロイン、アシㇼパさんは父のことを“アチャ”と呼ぶが、アイヌ語で“父”を表す「アチャ(Acha)」と、彼らの父親「アチャ(Atcha)」は全く関係がないと思う。
たとえイスラエルと地理的に近いトルコ語で「Ata」が父を意味する単語なのだとしても。
…日ユ同祖論とか、くだらないよね。

2020年4月9日に公開された動画。
ニツァン・バールはCordoba社製のガットギターを弾いている。
イスラエルでは政府の規制を無視して礼拝を続行したユダヤ教超正統派市民の間で新型コロナウイルスへの感染が蔓延しており、ネタニヤフ首相は6日、全土を段階的に封鎖する意向を表明している。

Nitzan Bar – guitar
Oren Hardy – bass
Shai Yuval – drums

Special Guests :
Yehonatan Cohen – saxophone
Assaf even tzur – saxophone
Yuval Drabkin – saxophone
Sarai Zak-Levy – vocals

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