カーボベルデ新世代の歌姫Lucibelaのデビュー作『Laço Umbilical』
ここ数年聴いた女性歌手の中で、もっとも美しい声の持ち主かもしれない。
海外のメディアでは彼女を称して“黄金の声”、“世界が待ち望んだセザリア・エヴォラの再来”などと最大級の賛辞を送っているが、これに異論を唱える者はいないだろう。
カーボベルデの歌手ルシベラ(Lucibela)。2018年にアルバム『Laço Umbilical』でデビューしたばかりの1986年生まれ。セザリア・エヴォラらも歌ったカーボベルデの伝統的な音楽であるモルナやコライデイラに根ざした楽曲に、深く包容力のある歌声が柔らかく乗る。
今回紹介する2019年作『Laço Umbilical (Bonus Version)』は基本的に前年のデビューアルバムの再発だが、(3)「Sai Fora」と(4)「Dona Ana」の2曲がゲストを迎えたデュエットとなっており、ラストに新曲「Ti Jon Poca」が追加収録されたものになっている。
この素晴らしい作品に多くの言葉は必要ない。ただただ人生のあらゆる側面を捉えたとも思える美しく深い歌声に浸るだけだ。
カーボベルデの新たな歌姫ルシベラ 略歴
ルシベラはカーボベルデの人口13,000人ほどのサン・ニコラウ島(São Nicolau)生まれ。幼少時に家族とともにサン・ヴィセンテ島(São Vicente)にあるカーボベルデ第二の都市ミンデロに引っ越し、現地の豊かな音楽文化に触れなから歌が大好きな少女として育った。高校の頃から地元のグループで歌い始め、卒業後は母親を亡くしたこともあり生計を立てるためにホテルで観光客相手の歌手として活動し徐々に注目を浴びるようになる。
2016年にポルトガルのリスボンに移りデビュー。セザリア・エヴォラは唯一無二の存在としつつ、“私は彼女がやってきたモルナやコライデイラといったカーボベルデの音楽を世界中で歌っていきたい”、“自分の才能で成功したい”と語った。
ルシベラは2021年に新曲「Curpim Sab」をシングルでリリースしている。アルバムでの次回作も待ち遠しい。