米ピアニスト・ピーター・マドセン、ギタリスト6人を擁する個性派プロジェクト初作品

Peter Madsen - Where There Was No Path

ピーター・マドセン、ギタリスト6人バンド“Six on Six”プロジェクト初作品

米国のベテラン・ピアニスト/作曲家、ピーター・マドセン(Peter Madsen)の新譜『Where There Was No Path』はなんとギタリスト6名を擁するなんともユニークな9人編成バンド“Six on Six Guitar Ensemble”!

ずっとギターという楽器の魔法のような音色やパワー、フィーリングに魅せられていたというピーター・マドセン。オーストリアの地で6本のギターに囲まれたコレクティヴを編成したのは今から約10年前だったという。バンド名は伝説的ギタリスト、ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)の「Four on Six」、つまり6本の弦の上を4本の指で演奏するギター愛あふれる曲名のもじり。

(1)「Where There Was No Path」はピーター・マドセンの初リーダー作『Snuggling Snakes』(1993年)でクリス・ポッター(Chris Potter)らと演奏した曲で、今作では多層的に重なり合う6本のギター(全員がホロウボディの楽器を使っている)がなかなかにインパクト抜群。かといってギタリストたちもそれぞれが強い主張をしているわけではなく、アンサンブルに徹しているため調和の乱れもないという絶妙なバランス具合。

6人のギタリストが一堂に会する動画はなかなかのインパクト。(1)「Where There Was No Path」

6人のギタリストのうちソロを取るのはオリヴァー・ラス(Oliver Rath)とマルクス・ホルツマイア(Markus Holzmaier)の2名。参加する6名のギタリストはweb上に情報の乏しいミュージシャンばかりだが、演奏は申し分なしのブルージーなジャズが展開される。なかなかジャズギター好きにとっては興味深い作品だ。

楽曲はすべてピーター・マドセンのオリジナル。硬派な作風が多いが、ジャズの世界に変拍子を根付かせたデイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck)をリスペクトした(2)「Brubeck」、画家シャガールをモチーフにしたと思われる夢想的で浮遊感のある(4)「Chagall」、なんともユニークなエフェクターの音色が楽しめる(7)「The Cat」など遊び心も満載で楽しめる。

ピーター・マドセン 略歴

ピーター・マドセンは1955年ウィスコンシン州生まれ。ピアノは8歳から演奏、10歳からコントラバスも学び始める。
13歳の頃からジャズに興味を持ち始め、16歳からプロとして演奏を始めた。ウィスコンシン州の大学の音楽科卒業後ニューヨークに進出。1987年にスタン・ゲッツとともにヨーロッパツアーを行ったことを皮切りに以降様々なミュージシャンと共演を重ね、これまでにリーダーとして10枚以上、サイドマンも含めると125枚以上の録音を残している。

Christian Bilgeri – guitar
Guillermo Delis – guitar
Markus Holzmaier – guitar
Roland Jenny – guitar
Oliver Rath – guitar
Roger Szedalik – guitar
Herwig Hammerl – bass
Philipp Mayer – drums
Peter Madsen – piano

Peter Madsen - Where There Was No Path
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