アラブ音楽×ジャズと少しのワールド・ミュージック『Norwegian Oud』
イスラエルのウード/打楽器奏者/作曲家、イノン・ムアリム(Yinon Muallem)の新譜は『Norwegian Oud』。もうこのタイトルだけで興味津々なのだが、内容もとても良かった。表題曲の1曲目「Norwegian Oud」はタイトル通り、ビートルズの名曲「Norwegian Wood」のアラブ風カヴァー。ほかにもトルコで音楽を学んだ彼らしい伝統音楽×ジャズのハイブリッドな楽曲群や、インド音楽へのアプローチ(8)「SMS to India」など多彩で楽しい作品だ。
アルバムのタイトルこそ「アラブ音楽と北欧テイストの融合かな?」と思わせるものの、1曲目を除き北欧感はゼロ。全体的なテイストは伝統的なアラブ・パーカッションとウードを軸にジャズや現代的なテイストを加えたという印象。総勢20名以上のミュージシャンが参加しているが、中でもピアノのエヤル・ロヴィット(Eyal Lovett)のプレイはバッキング、アドリブともに光る。
イノン・ムアリム(Yinon Muallem)は1968年生まれ。ダルブッカ、デフ、ベンディール、ザーブといった中東・西アジアの打楽器を専門としており、伝統的なトルコ音楽、スーフィー音楽、ジプシー音楽、クレズマー音楽、さらにはバルカン音楽やインド音楽を洗練されたスタイルで演奏。さらにはイスタンブールで著名なウード奏者ユルダル・トクジャン(Yurdal Tokcan)に師事しウードも学ぶなど伝統音楽への尽きない探究心で独自の音楽を作り上げてきた。
近年はイスラエルの若手ピアニスト、ガイ・ミントゥス(Guy Mintus)の2015年のデビュー作『Offlines Project』を共同名義でリリースするなどジャズとの繋がりも深い。
Yinon Muallem – oud, percussion
Eyal Lovett – piano
Stefan Engelmann – contrabass
Meni Welt – bass
İlker Çankara – bass
Yankale Segal – electric bass
Aidan Lowe – drums
Natalia Mann – harp
Yannis Raba – oud
Ido Segal – Indian guitar, violin
Uraz kıvaner – piano
Rali Margalit – cello
Murat Süngü – cello
Ofer Peled – bansuri, ney
Erdi Aslan – duduk
Bangalore Amrit – kanjira
Ariel Qasis – kanun
Harel Shachal – clarinet
Ziv Yehezkel – gazel
İsmail Altunbaş – darbuka
Berrak Yedek – dance