ダニエル・カシミール、UKジャズを牽引する豪華布陣の新譜
UKジャズ新世代ダニエル・カシミール(Daniel Casimir)の新作『Boxed In』がリリースされた。テス・ハースト(Tess Hirst)との共同名義の前作『These Days』(2019年)も素晴らしかったが、今作もこのベーシストにさらなる注目を集めさせるには充分すぎる内容に仕上がっている。
今作は鍵盤にアル・マクスウィーン(Al Macsween)、ドラムスにモーゼス・ボイド(Moses Boyd)、トランペットにジェイムズ・コパス(James Copus)、テナーサックスにヌバイア・ガルシア(Nubya Garcia)という強力な布陣のクインテットを軸に、弦楽、金管、木管アンサンブルを加えたりリア・モラン(Ria Moran)のヴォーカルが加わったりと非常に豪勢。ヒップホップやネオソウルを経由したビートやコード進行の上で、ソリストたちによる自由で高度な即興が次々に積み重なっていく様はやはりスリリングで楽しい。楽曲を崩しすぎず遊べる隙間で存分に遊ぶという趣向は聴きやすく万人におすすめできる“現代のジャズ”だ。
ダニエル・カシミールのベースは派手な主張こそあまりしないものの、細かくグルーヴィーで常に支配的。かっこいい音楽とはこういうものなんだよ、そんな声が聞こえてきそう。
Quintet :
Daniel Casimir – double bass
Moses Boyd – drums
Al Macsween – keyboards
Nubya Garcia – tenor saxophone
James Copus – trumpet
Brass :
Sean Gibbs – trumpet
Andy Davies – trumpet
Tom Dunnet – trombone
Rosie Turton – trombone
Woodwind :
Faye MacCalman – clarinet
Samuel Rapley – clarinet
Gareth Lockrane – flute
Strings :
Julia Dos Reis – viola
Miranda Lewis – cello
Rebekah Reid – violin
Rhiannon Dimond – violin
Ria Moran – vocals