ヌバイア・ガルシア、UKジャズ新世代の底知れぬ魅力が詰まった最新作

Nubya Garcia - Source

ロンドンの若手サックス奏者ヌバイア・ガルシア新譜『Source』

多くの若手ミュージシャンがお互いに刺激しあい、シーンの最隆盛を感じさせるUKジャズシーンの2020年の最注目作のひとつが、この女性サックス奏者ヌバイア・ガルシア(Nubya Garcia)の新譜『Source』であることは間違いないだろう。

1991年ロンドン生まれ。母親はガイアナ、父親はトリニダード出身という移民の一家に生まれたが、彼女を取り巻く音楽の環境は実に贅沢だった。継父はあらゆる木管楽器を揃えていたし、母親はラテン、レゲエ、ジャズ、クラシックなどあらゆるジャンルのコレクターだった。自然と彼女も音楽に触れるようになり、最初はピアノとヴァイオリンを習ったが、いつしか家にあった古いクラリネットに惹かれるようになった。10歳からサックスを始め、様々なバンドで経験を積み始めると、UKで欠かせないサックス奏者になるまではすぐだった。

2017年に『Nubya’s 5ive』でアルバムデビュー。
サイドマンとしてもこれまでにマカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)、テオン・クロス(Theon Cross)、モーゼス・ボイド(Moses Boyd)、シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)、ヤズ・アハメド(Yazz Ahmed)、サラ・タンディ(Sarah Tandy)といった同世代のミュージシャンたちとの共演を重ねてきた。

あらゆるルーツに根ざした多彩な音楽的感性

ヌバイア・ガルシアの2020年新譜『Source』はそんな彼女の豊かな音楽的バックグラウンドが詰まった作品に仕上がっている。

力強くブロウするストレートなジャズの(1)「Pace」、ダブの要素を詰め込んだ革新的な(3)「Source」、コロンビアの歌手ラ・ペルラ(La Perla)をフィーチュアしたクンビア(7)「La cumbia me está llamando」、マルチジャンルで不思議な魅力のシンガー、Akenyaを迎えた(9)「Boundless Beings」といった多彩な楽曲群は、この稀代のサックス奏者を既存のジャンルに無理矢理に振り分ける行為を無意味にする。
アルバムタイトル「Source」はつまり「源」のことだが、今作はヌバイア・ガルシア自身が“音楽のジャンル”に抗い、彼女自身の個性で勝負をかけた一枚とも言える。

ラテンをルーツに持つ彼女にとって、レゲエ/ダブとジャズが融合した(3)「Source」は極めて自然な音楽だ。

Nubya Garcia – saxophone
Joe Armon-Jones – keyboards
Daniel Casimir – bass
Sam Jones – drums

Guests :
Cassie Kinoshi – saxophone
Sheila Maurice-Grey – trumpet
Richie Seivwright – trombone
La Perla – vocal
Akenya – vocal

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