豊かな感性で音楽を紡ぐアルゼンチンのSSW、マウロ・ヘンティレ

Mauro Gentile - Afuera

アルゼンチンのSSW、Mauro Gentile の紹介

アルゼンチンのシンガーソングライター、マウロ・ヘンティレ(Mauro Gentile)という音楽家の存在はチェロ三重奏グループ、Flor Sur Cello Tríoのアルバム『Andorinha』(2020年)で知った。そこに収録されていた彼が作曲した「Desprender」という曲の旋律があまりにも美しく心の琴線に触れ、アレンジも洗練されていて強く印象に残っていた。その後、彼がソロでも作品を出していることを知ったが、日本ではまったく紹介されていないようなのであらためて書いておきたい。

マウロ・ヘンティレのEP『Afuera』は前述の曲「Desprender」も収録された2020年の作品。静かでゆったりとした感覚、そして美しいメロディーやアコースティック楽器のサウンド、優しく飾らないヴォーカル、それでいて聴き流すことのできない音楽としての高い完成度など、現代アルゼンチン音楽の粋を結晶させたような素晴らしく魅力に満ちた作品だ。

全6曲はすべてマウロ・ヘンティレの作詞作曲。ギターとヴォーカルで穏やかに演奏される楽曲群はどれも独自の風景を持っている。この音楽を一言で的確に表現することは本当に難しい。アルゼンチンの伝統的なポピュラー音楽に強くインスパイアされた作風、クラシック音楽で培われた確かな演奏技術がその背景にあることは確かだが、そうしたテクニカルなことより何より、音楽や自然に対する彼の豊かな感性を存分に感じ取ることができる。
万人におすすめできるアーティストだ。

サグラダ・ファミリアを背に(2)「Tan Cerca」を演奏
(6)「Niños de los Carnavales」

マウロ・ヘンティレ略歴

イタリアにルーツを持つマウロ・ヘンティレはアルゼンチン・コルドバ州の都市リオクアルトに生まれた。その後州都コルドバに移住し、器楽(ギター、チェロ)奏者、歌手として幅広くキャリアを形成しコルドバ交響楽団や室内楽団でも活躍。1994年にフルート、クラリネットとのトリオでシューベルトやロッシーニなどの作品を演奏したクラシック室内音楽のアルバム『Trio Mauro Giuliani』を録音している。

2019年にコルドバのチェロ三重奏団Flor Sur Cello Tríoのアルバム『Andorinha』に作曲家/ギタリスト/チェロ奏者/歌手として参加し、音楽家として大きな飛躍を遂げた。
2021年8月には最新シングル『Pulso natural』をリリースするなど近年はシンガーソングライターとしての活動を活発化させており、今後も目が離せない。

Flor Sur Cello Tríoとの共演で(1)「Canción del aire」を演奏する映像

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