アフリカ×北欧の強烈なミクスチャー、Monoswezi新譜
国籍を超えたミクスチャー音楽集団、モノスウェージ(Monoswezi)が新譜『Shanu』をリリースした。
2008年に結成されたMonosweziは今作を含めこれまでに5枚の作品をリリースしている。グループ名はメンバーの出身国(モザンビーク、ノルウェー、スウェーデン、ジンバブエ)の頭文字を組み合わせたもの。ホープ・マシケ(Hope Masike)の声とンビラ(“ムビラ”とも)を中心に、ジンバブエの隣国モザンビーク出身の打楽器奏者カル・ツェマネ(Calu Tsemane)が持つアフリカ音楽のバックグラウンドに、北欧メンバーのアイディアを加えたチャレンジングなバンドだ。これまではアコースティックなサウンドが主体だったが、今作『Shanu』では電子音も適度に導入し新たな進化を見せる。
荘厳なパーカッション・アンサンブルと物語性の強い構成が魅力的な(1)「Kuwonererwa」、西洋音楽のポピュラー音楽を礎とし、キャッチーながらやはりアフリカ伝統音楽の郷愁感も感じさせる(4)「Tsika Dzako」あたりが至高。楽曲は伝統曲のモダンなアレンジである(8)「Hwiri Hwiri Hwiri」を除き全てホープ・マシケ単独あるいはメンバーとの共作によるオリジナルとなっている。演奏面ではやはりンビラの瞑想的な演奏や、幾重にも重なるアンサンブルが際立っており、バンドが唯一無二の存在であることを印象付ける。
グループを率いるシンガー/ンビラ奏者ホープ・マシケは1984年ジンバブエ生まれ。ジンバブエ音楽大学で民族音楽を学んだ彼女は、伝統音楽を保存することと同等程度にそれを更新し続けることも重要だと考えている。それは日々価値観が変わりゆく世の中において、伝統的なもののみに捉われていては聴衆とのつながりを失ってしまうためだ。彼女は主にンビラ(大型の親指ピアノ)と歌を通じて、伝統的なアフリカ音楽と現代的な音楽を繋ぐ橋渡しの役割を担うようになり、いつしか“ンビラのプリンセス”と呼ばれるようになったようだ。
Hope Masike – voice, mbira, percussion
Calu Tsemane – voice, percussion
Hallvard Godal – saxophone, clarinet, harmonium
Putte Johander – bass
Erik Nylander – drums, percussion