グルーヴの渦に飲み込まれる、マイエレ・マンザンザ新譜
もう、めちゃくちゃかっこいいです!!
マイエレ・マンザンザ(Myele Manzanza)の最新フルアルバム『Crisis & Opportunity, Vol. 2 – Peaks』。
EP『Crisis & Opportunity, Vol. 1 – London』からの続編である今作もヒップホップやネオソウル、エレクトロ・ミュージックを経由し、ミックステープからもインスパイアされた現代感覚満載のジャズ。やはりパーカッショニストの父の影響もあるためかリズムの捉え方が抜群のセンスで、音楽に最も重要な要素がリズムやビートであることを再認識させてくれる。
楽曲自体の構成は非常にシンプルだ。一定のコード進行をループするという手法が多く用いられており、対極のトレンドにある緻密な譜面のようなものはなさそう。だがその分各楽曲には“遊び”があり、ソリストによるスリリングな即興やリミックスによる再構築の妙技が楽しめる。常に場を支配するドラムスやパーカッション、ベースによって生み出されるグルーヴ。変幻自在のリズム。シンセも多用されているが、妙に人間的な生々しさが心地良い。
アルバムに参加するのはマイエレ・マンザンザ同様にニュージーランド出身のギタリスト、アシュトン・セラーズ(Ashton Sellars)、ピアニストのアロン・オティグノン(Aron Ottignon)、カナダ出身トランペッターのジェイ・フェルプス(Jay Phelps)といったロンドンの音楽シーンで頭角を表す気鋭ミュージシャンたち。
断言できる。最高にエキサイティングなリズムの渦に飲み込まれ、酔うように気持ち良くなりたいのであれば、マイエレ・マンザンザの音楽を聴かないという選択肢は存在しない。
Myele Manzanza 略歴
マイエレ・マンザンザ(“ミーレ・マンザンザ”とも表記される)は1988年ニュージーランドの首都ウェリントン生まれ。父親はコンゴ出身の打楽器奏者、サム・マンザンザ(Sam Manzanza)。
ニュージーランドのソウル・トリオ、エレクトリック・ワイヤー・ハッスル(Electric Wire Hustle)で活躍しその名を知られるようになり、2012年にアルバム『One』でソロデビュー。2019年に英国ロンドンに拠点を移し、活気に満ちたシーンの中心で活動を続けている。
Myele Manzanza – drums, percussion, programming
Ashton Sellars – guitar
Aron Ottignon – piano, synths, vocoder
Matt Dal Din – bass
Jay Phelps – trumpet
Lewis Moody – additional synths
Andre Marmot – additional percussion