占星術にインスパイアされた無国籍ジャズ・フルート、イタイ・クリス新譜

Itai Kriss & Telavana - Supermoon

NYで活躍するイスラエル人フルート奏者、Itai Kriss 新譜

フルート奏者、イタイ・クリス(Itai Kriss)の新譜 『Supermoon』は、プエルトリコ、イスラエル、キューバ、米国という多国籍バンドで作り上げたジャズ作品。宇宙や占星術にインスパイアされたということでスピリチュアルな響きも持つが、軽やかに舞うフルートやパーカッションをサウンドの中心としたラテン感覚がベースとなっており、創造的で面白い。

イスラエルで生まれ、モロッコやエジプト、バルカン半島、ロシアといった様々な音楽文化を吸収してきたイタイ・クリス。15年前にジャズを学ぶためにニューヨークに渡ってからは、世界中から集ってきたミュージシャンたちと積極的に交流を持ち、さらに多くの音楽を血肉としていった。

収録された13のオリジナル曲は星座に因んだタイトルが付けられている。フルートのイタイ・クリスとともにメインでソロをとるのはNY出身のトランペッター、ウェイン・タッカー(Wayne Tucker)。ピアノのキューバ出身セサル・オロスコCésar Orozco)、パーカッションのプエルトリコ出身マルコス・ロペスMarcos López)がサウンドにカリブの風をもたらす。
ベースのタミル・シュマーリング(Tamir Shmerling)とドラムスのダン・アラン(Dan Aran)はともにイスラエル出身。ゲストではイスラエルを代表する鍵盤奏者、シャイ・マエストロ(Shai Maestro)も参加している。

全体的にNYコンテンポラリージャズやラテン音楽の色が濃いが、特にラスト(13)「Pisces」などは中東音楽の要素も強く出るなど多彩な表現が魅力的な作品に仕上がっている。イタイ・クリスのフルートは柔らかく牧歌的だがアドリブになると熱くアグレッシヴな演奏を見せ、静と動のダイナミクスの幅が大きい。

(4)「Gemini」。タイトルは「双子座」の意味

イタイ・クリスは2011年に『The Shark』でアルバムデビュー。“最もエキサイティングな新しいフルート奏者/作曲家の一人”と評価されており、ジャズ、ラテン、中東のサウンドを取り入れた折衷的なスタイルで活躍している。そう多くはない現代的・先進的なジャズ・フルーティストでありながら、中東の伝統音楽から来るスパイスの効いたフレージングにも存在感がある。

(12)「Aquarius」。タイトルは「水瓶座」

Itai Kriss – flute
Wayne Tucker – trumpet, flugelhorn
César Orozco – piano, Fender Rhodes
Tamir Shmerling – bass
Marcos López – percussion
Dan Aran – drums

Special Guests :
Keisel Jimenez – vocals (3)
Jonathan Hoard – vocals (7)
Shai Maestro – keyboards, synths (all tracks except 9, 13)
Malaya Sol – backing vocals (3)

Itai Kriss & Telavana - Supermoon
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