ミナスのSSWセザル・ラセルダ、社会や自然環境への憂慮を込めた大傑作新譜

César Lacerda - Nações, Homens ou Leões

セザル・ラセルダ5枚目のアルバムは電子音も適度に取り入れた繊細な傑作

ブラジル・ミナスジェライスのシンガーソングライター、セザル・ラセルダ(César Lacerda)の新譜『Nações, Homens ou Leões』は冒頭(1)「O Sol Que Tudo Sente」のサウンドを聴く限りでは現代ミナス音楽の潮流に乗る一見キャッチーなMPBだが、その裏には彼の社会や環境問題に対する深い思慮があらわれた作品だ。

本作はポルトガルの作家グラダ・キロンバ(Grada Kilomba)の『Plantation Memories. Episodes of Everyday Racism(プランテーションの思い出:日常の人種差別のエピソード)』と、ブラジルの作家アイルトン・クレナック(Ailton Krenak)による『Ideias para adiar o fim do mundo(世界の終わりを延期するためのアイデア)』という本に触発されたもので、社会の構造とその崩壊を描く1〜4曲目の第一幕“Nações(国々)”、切迫する環境破壊を扱う5〜8曲目の第二幕“Homens(男たち)” 、そして人間と自然の関わりをテーマにした9〜11曲目の第三幕“Leões(ライオンたち)”の三部構成。

電子音も取り込んだサウンドは大胆かつ繊細で、過去の作品ではバンドサウンドが中心だったセザル・ラセルダのイメージを大きく刷新。全曲がセザル・ラセルダの作曲または共作で、妹のマルヴィナ・ラセルダ(Malvina Lacerda)が(1)(5)にヴォーカリストとして参加している。他に(4)「Parece Pouco」ではバイーア生まれのアフロ・ブラジリアン歌手シェニア・フランサ(Xênia França)、(2)「Parque das Nacoes」にはアンゴラのSSWアリーネ・フラザォン(Aline Frazão)、(11)「Amanha」には米国シカゴの現代ジャズシーンで注目されるコルネット奏者/歌手ベン・ラマー・ゲイ(Ben LaMar Gay)など多彩なゲストが参加。アルバムのテーマ、音楽の芸術性や新規性など総合的にとても完成度が高い傑作に仕上がっている。
年間ベスト級の必聴盤だ。

(3)「Me Diz Por Que Brigamos」
César Lacerda - Nações, Homens ou Leões
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