仏生まれブラジル育ちのベース奏者ギー・デュヴィノー、伝説級巨匠を迎えたバーデン・パウエル曲集

Gui Duvignau - Baden

ビル・フリゼール、ロン・カーターを迎えたバーデン・パウエル作品集

フランス出身、ブラジル育ちのベーシスト/作曲家ギー・デュヴィノー(Gui Duvignau)の新譜 『Baden』はその名の通り自身が強く影響されたバーデン・パウエルへのオマージュだ。(1)「Canto de Ossanha(オサーニャの歌)」、(8)「O Astronauta(宇宙飛行士)」、(10)「Berimbau(ビリンバウ)」などなどバーデンが遺したアフロブラジルの魂と言っても過言ではない名曲の数々を取り上げている。
さらに驚くのがゲストで、ギタリストのビル・フリゼール(Bill Frisell)が4曲で、さらにベーシストのロン・カーター(Ron Carter)が(5)「Bluesa Preta / Asa Branca」で参加。伝説級巨匠の老練のプレイもたっぷりと楽しめる注目盤だ。

バンドはカルテット編成を基本としている。ミズーリ州出身の若手ピアニストのローレンス・フィールズ(Lawrence Fields)、NYで活躍するベテランのサックス奏者ビリー・ドレヴェスBilly Drewes)、同じく大ベテランのジェフ・ハーシュフィールドJeff Hirshfield)という布陣による安定感のある演奏で探索的にバーデンの作品をアレンジする。

そしてやはり、ロン・カーターとのダブルベース2本で演奏される(5)「Bluesa Preta / Asa Branca」の渋さがたまらない!

ビル・フリゼールが参加した(1)「Canto de Ossanha」

(4)「Ao Baden」、(9)「Mata Adentro」、(12)「For Bill & Baden」はギー・デュヴィノーによるオリジナルで、バーデン・パウエルと彼の音楽への感謝が捧げられている。

国際感覚豊かなベーシスト

ギー・デュヴィノーはフランスに生まれ、モロッコに短期間居住したあとブラジルのミナスジェライス州都ベロオリゾンチに移住、その後十代のうちにサンパウロに移っている。そこでは地元のロックやメタルのシーンに魅了され、兄がギターを、そして彼はベースを手に取り演奏を始めたとのこと。

次第にロックでは満足しなくなり、より音楽や楽器を深く探求することを望んだ彼はジャズを聴き始め、マイルス・デイヴィス、オーネット・コールマン、ジョン・コルトレーン、ジャコ・パストリアス、そして特にチャールズ・ミンガスのCDを聴き漁るようになり、ジョビンやシコ・ブアルキ、バーデン・パウエルといったブラジルの豊かな先人たちの音楽も掘り下げていくようになった。

音楽、特にジャズの道を志したが、ブラジルにはクラシック以外で学位を取得できる大学の選択肢は限られていたため米国ボストンのバークリー音楽大学に入学。そこではエレクトリックベースだけでなく、アコースティックのダブルベースも始め、2007年に卒業したあとはほぼダブルベースに集中している。

ポルトガルでの短期滞在中に歌手のソフィア・リベイロ(Sofia Ribeiro)と『Porto』(2010年)を制作しアルバムデビュー。その後フランス・パリに長期滞在し『Fissura』(2016年)をリリース。前作『3, 5, 8』(2021年)はニューヨークで制作された。

Billy Drewes – saxophones, clarinet
Lawrence Fields – piano, Wurlitzer
Gui Duvignau – bass
Jeff Hirshfield – drums
Ron Carter – bass (5)
Bill Frisell – guitar (1, 3, 9, 12)

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