インドネシアのSSWアルディート・プラモノ、知的で多幸感溢れるスウィンギーな新譜

Ardhito Pramono - Semar & Pasukan Monyet

インドネシアを愛するSSW、軽快に楽しく踊る新譜『Semar & Pasukan Monyet』

ジャズの素養に裏打ちされた非常に優れたポップセンスで人気のインドネシアのSSW/俳優、アルディート・プラモノ(Ardhito Pramono)の2021年作『Semar & Pasukan Monyet』。今作は1曲目を除きスウィングジャズのビッグバンドに彩られたサウンドとなっており、表向きは“子ども向け”を装ってはいるが、内容は早熟の天才の実力をあらためて知らしめる完成度の高い一枚に仕上がっている。

冒頭の(1)「Something New」はまさしくファンタジーな物語への幸せな導入で、ガットギターとストリングスに乗せてインドネシアの命を育む熱帯林へと我々を誘う。続く(2)「Tiger Song」からは気持ちの昂るジャズ・ビッグバンドに乗せてジャングルを軽快に案内してくれる。注目を惹くであろう(3)「Orang Utan」は環境破壊によって生息地が急速に減少しているインドネシアを象徴する類人猿オウンウータンをテーマにしており、啼き声を模したアルディートの歌もユニークだ。

今作はこれまでの彼の作品に比べれば幅広い年代から親しまれやすく、彼自身の音楽性の幅も広がったアルバムと言える。私生活ではスキャンダルも報じられるようになり、2022年1月21日には薬物乱用の疑いで拘束とも報じらているが、今後この大きな才能にさらに注目が集まることは間違いないだろう。

(2)「Tiger Song (Do The Wiggle)」のMV。
子ども向けのヴィデオクリップと侮るなかれ。

ラストの(7)「Life Could Be Amazing」は再び夢から覚めたようなピアノとチェロが印象的な美しい曲で、どんな困難に遭っても人生は素晴らしいと信じられるものだと歌う。

Ardhito Pramono プロフィール

アルディート・プラモノ(Ardhito Pramono)は1995年ジャカルタ生まれのSSW/マルチ奏者。祖母はジャズシンガーのSarwi Mumpuniで、子供の頃からジャズに親しみ、特に40年代のジャズがお気に入りだったという。

2013年にオーストラリアのJMCアカデミーの映画学部で学ぶ傍ら、YouTubeで往年の名歌手エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)の「What are you doing new year’s eve?」のカヴァーでデビューし、さらに自作曲「Bitterlove」などでYouTubeをメインに積極的な発信を開始した。

2017年に音楽レーベルSony Musicと契約、2018年にシングル『Fake Optics』でデビュー。2019年にはEP『a letter to my 17 year old』をリリースし、YouTubeでのチャンネル登録数55万人(2022年1月時点)など国際的にもその認知を広げている。

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