北欧ジャズの美の極致。Trio X of Sweden、スウェーデンの伝統曲集

Trio X of Sweden - Trad. Arr

ヤン・ヨハンソンへの畏敬を示す、美しい北欧伝統曲集

スウェーデンのピアノトリオ、Trio X of Sweden『Trad. Arr』はそのタイトル通り、伝統曲をジャズのピアノトリオで再構築した作品だ。全編北欧らしい美旋律のオンパレードで、腰を据えてじっくり聴くもよし、リラックスした時間のBGMにふんわりと流すもよしの万人におすすめしたいアルバムとなっている。

冒頭の(1)「Elsas brudmarsch」はトリオのベーシスト、ペール・V・ヨハンソン(Per V Johansson)が書いた曲だが、そのメロディは伝統音楽と同じようにシンプルでどこか懐かしさのある美しさ。

(2)「Jag vet en dejlig rosa」(美しき薔薇)は歌手モニカ・セッテルンド(Monica Zetterlund)がビル・エヴァンス(BIll Evans)と録音したことで知られるスウェーデンの伝統曲。

(5)「Allt under himmelens fäste」(すべては天空のもとに)も伝統曲で、弓弾きのベースの半音下降に支えられ、ピアノで提示される詩的なテーマがこの上なく美しい。

(10)「Kristallen den fina」(うるわしき水晶)もスウェーデンのよく知られた民謡。ピアニスト、レナート・シモンソン(Lennart Simonsson)の瑞々しいピアノが素晴らしい。

(2)「Jag vet en dejlig rosa」

この作品はスウェーデン・ジャズの先駆者ヤン・ヨハンソン(Jan Johansson, 1931 – 1968)に捧げられている。(11)「Visa från Utanmyra」はそのヤン・ヨハンソンが伝統曲をアレンジし演奏した彼の代名詞的な曲で、その後スウェーデン・ジャズのスタンダードとなったもの。ここでのTrio Xの演奏もヤン・ヨハンソンへの深いリスペクトが感じられる。

Lennart Simonsson – piano
Per V Johansson – bass
Joakim Ekberg – drums

Trio X of Sweden - Trad. Arr
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