注目のターキッシュ・ジャズバンド、KAPIKO新譜『Nova』
トルコの伝統的な笛、カヴァルをフィーチュアしたバンド、カピコ(KAPIKO)による新譜 『Nova』は、カヴァー曲を中心としつつもアナトリア〜バルカンの音楽的エッセンスを巧みに加えた個性的で楽しいエスノ・ジャズ・フュージョンだ。
KAPIKOはカヴァルのバトゥハン・アイドゥン(Batuhan Aydın)、キーボードのニコラウス・グリル(Nikolaus Grill)、そしてベースのネイゼン・オザリ(Neyzen Özsarı)のスリーピースバンドだが、今作には他にもドラムス、ギター、ヴォーカル、パーカッション、管楽器など多数が参加。音を聴けば大所帯バンドかと思うほど色彩の豊かなサウンドを聴かせてくれる。
アルバムの幕開けとなる(1)「Schleunige」や(6)「Haydar Haydar」、(7)「Quill Blues」は作曲者クレジットもわからない伝統曲。現代的なリズムやハーモニーでアレンジされたアンサンブルだが、やはり主役となるカヴァルの素朴な音色はこのバンドの強烈な個性を示す。
(2)「Reza」はジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)の楽曲のカヴァー。シンプルなベースラインはそのままに、ここでもカヴァルで吹かれる旋律が中東音楽の魅力を発揮。中間部でのニコラウス・グリルによるアナログシンセのソロもかつてのフュージョン黄金時代のライヴ感に満ちていて素晴らしい。
(3)「Gakavik」はアルメニアを代表する音楽家ゴミダス・ヴァルダベッド(Gomidas Vartabed)の楽曲で、女性ヴォーカルをフィーチュアした素朴なメロディや効果的な転調、カヴァルの表現力豊かなソロも胸を打つ。
(5)「Serenade to a Cuckoo」はローランド・カーク(Roland Kirk)の代表曲だが、カッコウ(郭公)の鳴き声をユーモラスに模倣しつつ、バックのリズムは万華鏡のように変化する面白いアレンジが施されている。現時点で今作からはこの曲のみスタジオ収録の模様を繋げたMVが公開されているので、ぜひご覧いただきたい。
KAPIKO :
Batuhan Aydın – kaval
Nikolaus Grill – keyboards
Neyzen Özsarı – bass
The Team :
Ozan Erkan – guitars
Alikaan Uysal – percussion
Riccardo Marenghi – drums
Şenova Ülker – trumpet
Tamer Temel – saxophones
Burak Dursun – trombone
Ezgi İrem Mutlu – vocals
Gabriela Partofsky – vocals
Merve Akyıldız – vocals
Yasin Türk – vocals