コンテンポラリー・アルゼンチン・サンバの静かなる傑作
現代アルゼンチン音楽の最高峰アーティスト、カルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)の新譜『Va Siendo Tiempo』はギター・アンサンブルを主題とした美しすぎるアルバムだ。近年注目を浴びるアルゼンチン音楽の有機的で肥沃なエッセンスが詰まった素晴らしい音が溢れる。
今作では4名のギタリスト──ルイス・メディナ(Luis Medina)、セバスティアン・ナルバエス(Sebastian Narvaez)、マウロ・レジェス(Mauro Leyes)、マウリシオ・ラフェラーラ(Mauricio Laferrara)を従え、アギーレは楽曲によってヴォーカル、ギター、アコーディオン、パーカッションなどを担当。全体として6/8拍子のアルゼンチン・フォルクローレであるサンバ(zamba)のテイストが色濃くなっている。インスト、ヴォーカル曲は半々程度の比率だが、アギーレの優しい歌声と、幾重にも重なるガットギターの響きがこの上なく心を揺さぶり、アルバム全編を通じて“浸れる”。
これまで数多くの名盤を残してきた鬼才カルロス・アギーレ。彼の音楽への比類なき愛情の強さが伝わる名作だ。
Carlos Aguirre – guitar, bass guitar, vocal, percussion, accordion, bandoneon, synthesizer
Luis Medina – guitar, voice
Mauricio Laferrara – guitar, guitarron, voice
Mauro Leyes – guitar, bass guitar, voice
Sebastian Narvaez – guitar, voice