NYで出会ったウィーンの女性ピアニストとイスラエルの男性ドラマーの甘美なデュオ作品

Verena Zeiner & Ziv Ravitz - The Sweetness of Finitude

ヴェレーナ・ツェイナー×ジヴ・ラヴィッツ、初のデュオアルバム

オーストリア出身のピアニスト/作曲家ヴェレーナ・ツェイナー(Verena Zeiner)と、イスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)の初めてのデュオ作品『The Sweetness of Finitude』
互いにそれぞれの役割を持ちつつも、その親密なアンサンブルは個人の境界を曖昧にし馴染み合い、そしてやがて溶け合ってゆく。デュオというフォーマットで行われる即興音楽の情緒の極みとも思えるサウンドが夢見心地なアルバムだ。

ともに異なる文化的バックグラウンドを持つ二人は2011年にニューヨークで出会ったという。意気投合した二人はヴェレーナ・ツェイナーのソロアルバム『No Love without Justice』でジヴ・ラヴィッツがミックス・マスタリングを担当するという形で初めての共同作業が実現。その後コラボレーションはさらに発展し、今作のデュオ演奏につながった。

“The Sweetness of Finitude”、つまり“有限の甘美”と題された今作は、その名の通り刹那的なエモさが図らずとも前面に押し出されている。ともに音域の広いピアノとドラムセットという楽器の特長をフルに活かし、演奏者の実態がすべて各々の楽器に乗り移ったかのようなダイナミックかつ繊細な演奏はデュオというフォーマットならではのもの。二人の演奏は会話のように主張と気遣いの間で揺れ、テレパシーのように通じ合い、ほんの一瞬のすれ違いも見せつつ、概ね丁寧にケアされているように聴こえる。
いわば、生々しさ故に美しい、そんな印象を抱かせるアルバムだ。

(2)「The Wordless」

Verena Zeiner – piano, compositions
Ziv Ravitz – drums

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