カタルーニャのSSWリア・サンパイの2nd『Amagatalls de Llum』
スペイン・カタルーニャのSSW、リア・サンパイ(Lia Sampai)がギタリスト/アレンジャーのアドリア・パジェス(Adrià Pagès)とともに作った2nd『Amagatalls de Llum』が素晴らしい。カタルーニャの歌手特有の繊細で圧倒的な歌唱表現力と、ガットギターの柔らかな響きが相まってなんとも深みのある味わいの音楽に。一部の楽曲ではこの軸となる二人の世界観にわずかな彩りを添えるように静謐なヴァイオリンやチェロ、ピアノやグロッケンシュピールなども加わり、前作からさらに洗練された姿を魅せる。
デビュー作以来のパートナーであるギタリストのアドリア・パジェスのギターの表現力も素晴らしい。クラシックギターの熱心な勉強家であると思われる演奏技術に、パーカッシヴな奏法やフラメンコ的な表現、英米のロックやブルースも吸収した多彩なギターは創造力に富む。(7)「Salze Vell」では見事なトレモロを聴かせてくれる。
彼のギターは決してリア・サンパイのヴォーカルより前に出ることはなく淡々としているが、要所要所でリア・サンパイのヴォーカルを引き立てながら、単純な伴奏に留まらない聴きどころを演じている。
(5)〜(7)ではカタルーニャの先輩歌手、トナ・ガファロット(Tona Gafarot)がコーラスで参加。
シルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)やジェンマ・ウメット(Gemma Humet)といったカタルーニャ音楽の歌姫の系譜を継ぐ、躊躇なく傑作と呼べるアルバムだ。
Lia Sampai プロフィール
リア・サンパイは1995年生まれ。20歳の頃から歌手として活動を始め、2017年に家族の出身地であるトルトサで開催されたシンガーソングライター・コンクールで初めてステージに上がり2位を獲得。それから数々のステージに上がり徐々に露出も増え、2018年末からギタリストのアドリア・パジェスとのコラボレーションを開始し、2019年にアルバム『La Fada Ignorant』を発表した。
Lia Sampai – vocal
Adrià Pagès – guitar, vocal
Guests :
Tona Gafarot – vocal (5, 6, 7)
Lia Manchón – violin (2, 5, 6, 7, 9)
Jordi Consegal – violin (10)
Ester Trilla – cello (2, 5, 6, 9)
Emili Bosch – synthesizer (9)
Gerard Morató – piano (10)
Lluís Pérez-Villegas – glockenspiel (10)