アグレッシヴなジャズ・フルートで魅せる、Antiloops新作
ジャズとヒップホップの両分野で活躍するフランスのフルート奏者、リュディヴィーヌ・イッサンブール(Ludivine Issambourg)が彼女のバンド、アンチループス(Antiloops)を率いて制作した新譜『Supernova』。ジャケットやMVでの衣装はなかなかに強烈だが、アグレッシヴなフルート演奏を中心とした音楽の内容は申し分なくかっこいい。
(1)「Back to the Future」で幕を開けるジャズ、フュージョン、ファンク、Hip Hop、中東音楽、エレクトロといった雑多な音楽の掛け算であるこのアルバムは、そのタイトルが示す通り未来的・宇宙的なものを思い描いていた夢に満ちた過去──もしかしたら既に追い越してしまったかもしれない“過去のある時点での未来”──を的確に表現する。なぜだが懐かしさを感じるタイプの新しさという不思議。
空間的なサウンドをつくるキーボードのニコラス・デュラン(Nicolas Derand)、ミュートを効果的に入れフレージングも巧みなベーシストのティモシー・ロベール(Timothée Robert)、徹底的にグルーヴさせるドラムスのジュリアン・セリー(Julien Sérié)の力量はもちろん、ゲスト参加のヴァイオリン奏者テオ・チェカルディ(Théo Ceccaldi)、スクラッチのDj Greem、ヴォーカルのエリノア(Ellinoa)といった存在も彼女の作品に新しい風を吹き込む。
Ludivine Issambourg プロフィール
リュディヴィーヌ・イッサンブールは1983年ノルマンディー地方バイユー生まれ。クラシックとジャズのフルートを学び、ローランド・カーク、エリック・ドルフィー、ユセフ・ラティーフなどから大きな影響を受けている。
2003年にl’Orchestre de flûtes français (OFF)のメンバーとなる。2007年、フランスで開催された初のジャズ・フルートのコンクールで優勝。同年にヒップホップの作曲家/プロデューサーであるワックス・テイラー(Wax Tailor)のグループに加わり5年間ツアーなどに帯同した。
クラシック、ジャズ、ヒップホップなど幅広い経験を積み、2012年に自身のバンドAntiloopsを結成。おおよそフルートという楽器で得られる奏法の全てを取り入れながら、刺激的な音楽を創り続けている。
Antiloops :
Ludivine Issambourg – flute
Nicolas Derand – keyboards
Timothée Robert – bass
Julien Sérié – drums
Guests :
Théo Ceccaldi – violon (4)
Dj Greem – scratchs (4, 6)
Ellinoa – vocal (5)