コロンビアの若手SSWがテキサスのジャズメンと録音したたおやかな大傑作『From Noche to Night』

Laura Otero - From Noche to Night

コロンビア出身のSSWラウラ・オテロ、2015年の傑作

コロンビアのシンガーソングライター、ラウラ・オテロ(Laura Otero)が4年間の渡米経験を経てリリースした2nd『From Noche to Night』(2015年)は、バックの演奏陣をテキサス州オースティンのジャズ・ミュージシャンで固めたオーガニックで素晴らしく豊かなヴォーカル作品だ。タイトルでもスペイン語の夜 = noche から英語の夜 = night へと、彼女が過ごした環境の変化を表現している。

ギター、ダブルベース、ドラムスのトリオを中心とし、曲によって木管やヴァイオリン、チェロ、アコーディオンが絡むクラシカルな雰囲気を持つジャズバンドをバックに、伸びやかで表現力豊かなラウラ・オテロの極上のヴォーカルが乗る。全曲のソングライティングはラウラ・オテロ自身によるもので、一部英語曲はあるものの多くがスペイン語で歌われるためかリズムやメロディーなど南米音楽のエッセンスが随所に感じられ、彼女の柔らかい印象の声や豊かな感情表現とも相まって大きな包容力を感じさせてくれる。

(1)「Merceditas」のライヴ映像。

優れた感性を持ったシンガーソングライターと、一流の実力を持つジャズ・ミュージシャンによる国境を超えた出会いが生んだ、ずっと聴いていられる美しい傑作だ。

「24時間365日、ずっと音楽に没頭している」

ラウラ・オテロはコロンビアの首都ボゴタ出身。劇場の演者としてキャリアをスタートさせており、ボゴタのミュージカル団体、Misi Producciones に長く在籍していた。地元で多くのミュージカル作品に出演したのち、ノーステキサス大学(UNT)に留学し4年間ジャズを専攻した。米国ではカリフォルニアをツアーしたUNT Jazz Singersに参加し、SSWのロザーナ・エッカート(Rosana Eckert)とジェニファー・バーンズ(Jennifer Barnes)の両名に師事したほか、カート・エリング(Kurt Elling)、ジョン・クレイトン(John Clayton)、ジャニス・シーガル(Janis Siegel)、ジェイ・クレイトン(Jay Clayton)などのマスタークラスに参加。
彼女自身「24時間365日、ずっと音楽に没頭している」というほど音楽に没頭する生活を送っており、今回紹介した作品の後も精力的にシングルやEPをリリースしている。

2020年のシングル「Sentir, Soltar, Sonreír」のMV。

Laura Otero – vocals
Andrew Friedrich – guitar
Richard Mikel – double bass
Daniel Dufour – drums
Claudia Gómez – vocals (3)
Michael Longoria – percussion (1, 6-8)
Zack Varner – clarinet (5, 7), alto saxophone (6)
Marcus Wilcher – soprano and tenor saxophones (1, 4, 6) 
Ilia De la Rosa – cello (7)
James Anderson – violin (2)
Mike Maddux – accordion (2)
Michelle Alonso – backing vocals (8)
Jessica Green – backing vocals (8)
Kiko Villamizar – backing vocals (6) 

Laura Otero - From Noche to Night
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