往年のジャズ・スタンダードを独自の感性で再構築、ガットギターで魅せるベンジ・カプラン

Benji Kaplan - Something Here Inside

NYのギタリスト、ベンジ・カプランによるスタンダード再解釈

卓越したギタリスト、ベンジ・カプラン(Benji Kaplan)が前編ソロで録音した新譜『Something Here Inside』は、コール・ポーターやリチャード・ロジャース、ガーシュウィンといった古い作曲家たちのスタンダード曲に新たな視点を吹き込む素晴らしい作品だ。

それなりに名の知れたジャズのスタンダード8曲が収録されているが、ベンジ・カプランによってリハーモナイズなど複雑なアレンジが施されナイロン弦ギターで演奏されるそれらの楽曲はまるでまだ誰も聴いたことがない新しい曲であるかのように新鮮な印象を与える。

彼のギターは、ブラジルの鬼才ギンガ(Guinga)を彷彿させる。トップノート(最高音)だけ聴いていればスタンダード曲だと気付けるのだが、複雑な和音や対位法的に繰り出されるフレーズがあまりに独特で目立ち、トップノートを意識からそらせ、楽曲の認識を困難にさせる。彼の自由自在な演奏は一種の魔法を観ているようであり、豊かな音楽に集中したいときに聴くにはこれ以上ないほどの音源となっている。

(4)「Smoke Gets In Your Eyes」

収録曲は(5)「So In Love」などコール・ポーターが3曲、ほかにはジェローム・カーン作曲の(1)「The Song Is You」や(4)「Smoke Gets In Your Eyes」、ガーシュウィンの(7)「But Not For Me」など。
斬新なアレンジとガットギターの魔法をまぶして蘇った珠玉の名曲たちを心ゆくまで堪能したい傑作だ。

(5)「So In Love」

Benji Kaplan プロフィール

ベンジ・カプランは米国ニューヨーク生まれ。
父親はロシア系ユダヤ人にルーツを持つキューバ出身のパーカッショニスト、母親はオーストリア出身のビジュアルアーティストという家庭に育ち、幼い頃からアフロ・キューバン・ジャズやブラジルのクラシック音楽に強い影響を受けてきた。西洋のクラシック音楽やジャズにも精通し、豊かな音楽的感性で独自のコンテンポラリー・ブラジリアン・クラシカルのスタイルを築いている。

Benji Kaplan – guitar

Benji Kaplan - Something Here Inside
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