イスラエル在住ブラジル人シンガー、Feu Marinhoのデビュー作
イスラエル在住のブラジル人シンガー/作曲家のフェウ・マリーニョ(Feu Marinho)が、プロデューサー/ベーシストとして新進気鋭のダニエル・ハーレフ(Daniel Harlev)を迎えてデビュー作『Velocidade Futura』をリリースした。
全編ポルトガル語で歌われているが、バックの演奏を固めるのは全員がイスラエルのミュージシャンたち。ダニエル・ハーレフをはじめ、鍵盤のスタヴ・アハイ(Stav Achai)、ギターのロン・アヴィヴィ(Roi Avivi)、ラップスティール・ギター奏者で今作のサウンドエンジニアも務めるマタン・エゴジ(Matan Egozi)など幅広いジャンルに対応できる役者を揃え、3年の制作期間でじっくりと練られたサウンドは70年代のブラジルのサイケロックの香りを現代に蘇らせたような印象。
もとより半世紀前からブラジル音楽の受容が各国に先駆けて進んでいたイスラエルではあるが、今作はサンバやボサノヴァといった要素はゼロではないものの薄く、トロピカリアなどロック経由のブラジル音楽、伝統的なアフロ・ブラジル音楽、さらにはエチオジャズやハイライフなどアフリカに根付いた音楽を混交させた雑多で野性的な力強さが前面に出る。ただ、そんなぱっと聴きの印象とは裏腹に楽器編成含むアレンジは非常に緻密に構築されており、繰り返し聴くたびに新たな発見があるクオリティの高さだ。
アルバムは今やイスラエルの最重要レーベルとなったSPEAK THRUからのリリース。
(7)「Amanhecer」にはゲストシンガーとして“Cloud of I”ことユリ・シャフリリ(Yuli Shafriri)もフィーチュアするなど、現在進行形のイスラエルの音楽シーンを俯瞰できる作品としても注目だ。
Feu Marinho – vocal
Daniel Harlev – bass, double bass, additional keys & synth
Stav Achai – piano, keyboard, synth
Ben Franklin – drums
Matan Lior Ducker Levy – trumpet
Andy Patashka – trombone
Salit Lahav – flute
Oded Aloni – percussion
Roi Avivi – guitar
Noam Fuchs – additional synth
Nir Kleiner – drums
Itay Spigel – guitar
Matan Egozi – lap steel
Yuli Shafriri – vocals (7)
Danny Kutnner – choirs (5)