UKシーンを席巻する“サイケデリックR&B”。グリーンティー・ペン新譜『Greenzone 108』

Greentea Peng - GREENZONE 108

ロンドンのネオソウル・シーンの注目新人、Greentea Peng 新作

“サイケデリック R&B”を自称する英国ロンドン南東部出身のSSW、グリーンティー・ペン(Greentea Peng)が面白い。2021年のデビューアルバム『MAN MADE』に続く2022年作『GREENZONE 108』で、彼女は更なる飛躍を遂げて見せた。

音楽的にはローリン・ヒル、エリカ・バドゥ、ミス・ダイナマイト、リリー・アレンなどに影響を受けたというグリーンティー・ペンだが、ソウル、トリップホップ、R&B、ダブ、ジャズといった要素の他にルーツであるアラブ(父親が中東出身)、アフリカ(母親がアフリカ出身)を垣間見せる瞬間もあり、唯一無二のサウンドを醸し出す。

(4)「Stuck In The Middle」

とにかく、全編にわたって彼女の先鋭的なフィーリングが前面に出た作品だ。
スモーキーなエレクトリック・ギターがフィーチュアされた(1)「Feint」では欺瞞に満ちた世の中で自らを守ることの大切さを説き、どこか中東音楽を感じさせる(2)「Lose My Mind」では人生の主人公は自分である、という当たり前だが多くの人が見失いがちな摂理を歌っている。
現在進行形のダブ(7)「Three Eyes Open」のサウンドはめちゃくちゃかっこいいし、(8)「My Love」ではお腹に新しい生命を宿した母としての彼女の側面が直接的に表れ、また異なる世界観──もちろん、それらの全ては同じ世界線で起こっていることなのだけれど──を描き出している。

(10)「Top Steppa」のダブ・サウンドとロックの融合も面白い。
アルバムはこのように、どこから聴いても面白い。

彗星のように現れたグリーンティー・ペン。本名はアリア・ウェルズ(Aria Wells)といい、芸名は彼女の緑茶への愛情と、魅力的またはおいしいという意味のロンドンのスラング「peng」に由来している。つまり、日本語にするなら「お茶うんま!」程度の意味なのである。
そんな彼女は、最近はカモミールとアールグレイ、そして生姜とウコンのお茶を作って飲むのが好きだと語っている

(3)「Look To Him」
Greentea Peng - GREENZONE 108
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