8人組ジャズ・コレクティヴ「The Unity Band」、多様性豊かな南アフリカ現代ジャズを象徴する新譜

The Unity Band - Breaking Bread

南アフリカのThe Unity Band、2nd『Breaking Bread』

ケープタウンで最も危険な街といわれるニャンガ生まれのドラマー Lumanyano Unity Mzi を中心に結成されたジャズ・オクテット、ユニティ・バンド(The Unity Band)の2ndアルバム『Breaking Bread』がリリースされた。さまざまなリズムを取り入れた現代的で洗練されたサウンドに、女性ヴォーカリスト Thandeka Dladlaの歌も適度にキャッチーで魅力溢れるアルバムに仕上がっており、注目される南アフリカのジャズ・シーンの最先端と呼んでも過言ではない。

湧き水のように溢れるインスピレーションがアルバム全編に塗されている。即興演奏では内に秘めた情熱を、多種多様な音楽の融合からは知性を、新しい音楽を探求しようとするサウンドからは好奇心を、8人の心がひとつになったアンサンブルからは寛容を感じる。

(3)「Chukudu」

クールで知的なジャズ(1)「Place in the Stars」、タブラの音が鳴り響くオリエンタルな(2)「Pink Sunset」、アフリカの伝統的な音楽とかつて隆盛を極めたフュージョン・ミュージックとの融合である(3)「Chukudu」、重心の低さと独特のリズムがクセになる(4)「Walk This Road Alone」など、アルバムは序盤からバラエティに富んでいる。

インド音楽の影響も受けた(5)「Wakhile」はジャズ・ロックの様相も呈すDylan Fineの歪んだギターも最高だ。続く(6)「Bekezela」はブラジリアン・グルーヴで疾走する。

インドの打楽器、タブラがオリエンタルな雰囲気を醸す絶品ジャズ(2)「Pink Sunset」

このアルバムは西ケープ州にあるガーデンルート地区自治体の海辺のリゾート集落で、9日間のレコーディングを経て完成されたという。その間メンバーは寝食をともにし、希望、愛、一体感、反響、敬意、感謝、家族、インスピレーション、幸福といったアルバムのテーマを探求。都市の喧騒から離れ、純粋な創造性が発揮された結果、それぞれの個性が見事に混ざり合いながらも非常に優れたバランス感覚を備えた音楽が完成した。

The Unity Band :
Lumanyano ‘Unity’ Mzi – drums
Thandeka Dladla – vocals
Lilavan Gangen – percussion
Stephen de Souza – bass
Lonwabo ‘Diba’ Mafani – piano
Dylan Fine – guitar
Tshegofatso Matlou – alto saxophone
Marco Maritz – trumpet

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