ジョフィア・ボロスによる静謐な現代クラシック・ギター
ハンガリーのギタリスト、ジョフィア・ボロス(Zsofia Boros)のECM第3作目『El último aliento』がリリースされた。絶賛された彼女の過去2作品同様に、ヨーロッパや南米のギター音楽をどこまでも深く透明な音色で紡ぎ出す素晴らしい音楽だ。
抑揚の効いた温かみのあるナイロン弦の音色がとにかく美しい。ジョフィア・ボロスの演奏は時に感傷的だが、その指先は見事にコントロールされ、繊細な空気の揺らぎを完璧なまでに支配する。しなやかさと技巧を兼ね備えたギター演奏が、彼女の息遣いも含めECMらしい素晴らしい録音で捉えられている。
アルバムの中で多くを占めるのはフランスの作曲家/ギタリストのマティアス・デュプレッシー(Mathias Duplessy)の作品群で、11曲中6曲を占める。そのほかは南米アルゼンチンの作曲家たち、キケ・シネシ(Quique Sinesi)が2曲、そしてホアキン・アレム(Joaquin Alem)、アルベルト・ヒナステラ(Alberto Ginastera)、カルロス・モスカルディーニ(Carlos Moscardini)が各1曲ずつ。
(7)「Tormenta de ilusión」では、ジョフィア・ボロスはアンデスの伝統的な弦楽器であるロンロコを弾いている。
Zsofia Boros プロフィール
ジョフィア・ボロスは1980年にチェコのプラハで生まれ、スロバキアのブラチスラヴァとハンガリーのブダペストで育った。クラシックギターは6歳から始め、ウィーンの音楽芸術大学と、イタリアのポルデノーネにあるフランシスコ・タレガ・ギター・アカデミーで修めている。これまでにノース・ロンドン・ミュージック・フェスティバル、コンコルソ・インターナショナル・ヴァル・ティドーネ、パルマのパガニーニ・コンペティションなど数々のコンペティションで演奏し受賞。
2013年にECM New Seriesからデビューアルバム『En Otra Parte』を、2016年には2nd『Local Objects』をリリースし高く評価された。彼女の音楽的関心は西欧から東欧、南米まで広く及び、とりわけ現代的なクラシックギターのレパートリーが多く、最高峰の表現者として注目を集め続けている。
Zsofia Boros – guitar, ronroco (7)