極上デュオ、ナタリー・クレスマン&イアン・ファキーニ 第二作
カリフォルニア州出身のトロンボーン奏者/歌手のナタリー・クレスマン(Natalie Cressman)と、ブラジル生まれのギタリスト/歌手イアン・ファキーニ(Ian Faquini)のデュオによる第二弾アルバム『Auburn Whisper』。絶賛された前作『Setting Rays of Summer』から3年。深い音楽的パートナーシップを経て夫婦となった二人による今作は、より温かみを増した極上の音に満ちている。
前作同様に二人の歌と、ギター、トロンボーンのミニマルなアンサンブルだが、前作と決定的に異なっているのはより多くの多重録音を用いたことだろう。トロンボーンで奏でられるハーモニー、対旋律などは彼らの音楽により深い美しさをもたらしている。
楽曲の良さも群を抜いている。
多くの曲はイアン・ファキーニとイアラ・フェヘイラ(Iara Ferreira)の共作。イアン・ファキーニと彼の師であるギンガ(Guinga)との共作曲(6)「Segredo de Dadá」も興味深いが、ギンガが作曲に関わっていない(2)「Rear Window」や(3)「Canaã」、(7)「Cazadero」などギンガの作風を思わせる曲も多く、師からの強い影響を感じさせる。とにかく、個性的なメロディーの美しさは特筆すべきだ。
ナタリー・クレスマン、イアン・ファキーニの経歴
ナタリー・クレスマンはカリフォルニア州サンフランシスコ生まれのトロンボーン奏者/歌手。
母親は歌手のサンディ・クレスマン(Sandy Cressman)、父親はサンタナ(Santana)のトロンボーン奏者ジェフ・クレスマン(Jeff Cressman)という、まさに両親のいいとこ取りのサラブレッドである。
エリス・レジーナ、ジョニ・ミッチェル、ポール・サイモン、ハービー・ハンコック、ウェザー・レポートなど、幅広いジャンルから影響を受けたと公言している。
イアン・ファキーニはブラジルの首都ブラジリア生まれ、8歳の時に米国カリフォルニアに移住したギタリスト/SSW。過去にブラジルを代表する鬼才作曲家/ギタリストのギンガ(Guinga)にも師事している。
2016年には歌手パウラ・サントーロ(Paula Santoro)とのアルバム『Metal Na Madeira』を発表。丁寧に紡がれたアコースティック・サウンドはブラジル音楽ファンの間で高く評価された。
Ian Faquini – guitar, vocal
Natalie Cressman – tenor trombone, bass trombone, vocal