ブラジル出身SSWナニー・アシス新譜。ロン・カーター、シコ・ピニェイロ、ランディ・ブレッカーら参加

Nanny Assis - Rovanio

最高のゲストを迎えたナニー・アシスの新作『Rovanio』

1969年ブラジル・バイーア州サルヴァドール生まれ、4^0年以上のキャリアを持ちシンガー/パーカッショニスト/ギタリスト/作曲家として知られるナニー・アシス(Nanny Assis)が、自身の本名を冠したアルバム『Rovanio』をリリースした。自身のルーツである“ブラジル音楽”をベースに、長年第一線で活躍を続ける国際的なミュージシャンが多数集結した要注目の作品となっている。

全編にわたって耳を惹くのは、やはりベースのロン・カーター(Ron Carter)ではないだろうか。一聴して彼の演奏とわかる独特の妙に粘りっこいプレイがたっぷりと聴ける夢のような新録で、在りし日のアントニオ・カルロス・ジョビンとの共演を彷彿させる感涙ものの演奏を聴かせてくれる。(1)「No Agora」はそのロン・カーター作曲で、ジョビンの初期の創作の特徴を参考に作られたという。ロン・カーターは彼らしい奔放で魅力的なダブルベースを終始聴かせてくれる。主役であるナニー・アシスのヴォーカルも、ソロを取るシコ・ピニェイロ(Chico Pinheiro)のナイロン弦ギターも、さりげなく素敵に洗練されたトランペットを聴かせるランディ・ブレッカー(Randy Brecker)ももちろん素晴らしいのだが、やはり場を制しているのはロン・カーターの低音なのだ。

(1)「No Agora」

アルバムにはスタンダードも収録されている。
ルイス・ボンファ作の名曲(3)「Manhã de Carnaval」、そしてジョビンの(9)「Insensatez」。
国際的に広く知られたこれらのメロディーはアルバムの良いキャッチになっているが、この作品はそれだけでは勿体無い。圧倒的に個性的で魅力的なミュージシャンたちが音楽に深く浸り、感性の赴くままに楽しんでいるからこそ起こる奇跡が全編に溢れているのだ。

ほかにも素晴らしいゲストが多数参加

マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer)のジャニス・シーゲル(Janis Siegel)がヴォーカルで参加し、フレッド・ハーシュ(Fred Hersch)がピアノを演奏する(7)「Proponho」は今作の中では地味かもしれないが、その美しい旋律と演奏は心に沁みる。

ナニー・アシスの最愛の子どもたちも本作に参加している。
娘であるローラ・アシス(Laura Assis)はふたつの役割を担う。ひとつは魅惑的なポルトガル語で歌われる(9)「Insensatez」のリード・ ヴォーカリストとして。もうひとつは父親が作った(6)「Back to Bahia」の作詞家──彼女は当時6歳だったことを考えると、それは驚くほど洗練されている──として。
息子のダニ・アシス(Dani Assis)は(6)「Human Kind」で父親とデュエットしている。

(9)「Insensatez」

Nanny Assis – pandeiro, percussion, guitar
Ron Carter – bass
Chico Pinheiro – guitar
Randy Brecker – trumpet
Fred Hersch – piano
John Ellis – saxophone
Igor Butman – saxophone
Lakecia Benjamin – saxophone
Janis Siegel – vocal
Vinicius Cantuaria – vocal
Emanuel Yerday – vocal
Laura Assis – vocal
Dani Assis – vocal

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