終わらないグルーヴ、UKの最注目アンサンブルの新作
ナイジェリアとセネガルにルーツを持つロンドン育ちのジャンベ奏者イヒエル・カマラ・オノノ(Yahael Camara Onono)率いる大世帯“マンデ・ジャズ”バンド、バリマヤ・プロジェクト(Balimaya Project)が待望の2ndアルバム『When The Dust Settles』をリリースした。オノノが今作について“黒人の悲しみ、喜び、怒り、そして希望の物語を伝えるアルバム”と語っているとおり、西アフリカの伝統的なマンデ音楽に由来する複雑に躍動するリズムと、ロンドンの先鋭的なジャズのサウンドをミックスし力強いメッセージを発している。
(1)「For Aziz」はカマラ・オノノが11歳のときにナイジェリアでの国連平和維持活動中に殺害された兄、アブドゥル・アジズ・オニャマエチ・オノノ(Abdul Aziz Onyeamaechi Onono)の死についての歌だ。歌詞は人生の無常性を歌い、“誰が明日を知っている?”と問いかける。オリキ(oriki)と呼ばれる伝統的なヨルバの賛美歌を取り入れており、ゲスト・ヴォーカリストとしてアフロナウト・ズー(Afronaut Zu)がフィーチュアされている。
ゲストは他にナイジェリア出身のオボンジェイヤー(Obongjayar)が(5)「Red Oil / Beyond Kingdom Come」に、そしてマリ出身のファサラ・サッコ(Fassara Sacko)が(7)「There’s Nothing Left for Us Here」にそれぞれ参加。
(8)「Suley’s Ablution」はアルバムの軸となるスタイルと異なり、ピアノと歌、ストリングスをサウンドの中心に据えた優しいバラードだ。この曲は強烈なグルーヴを誇る楽曲が多い今作の中でも異彩を放ち、Balimaya Project というバンドの可能性を無限に拡張する。アウトロ部分は多数のパーカッションが加わりアイデンティティを見失わない構成も良い。
ラストの(10)「Seasons of Baraka」は猛り狂うリズムの嵐の中、ストリングスも含んだ驚異的なラージアンサンブルで彼らの感情を総括する。いつまでも続く、喜怒哀楽の全てを含んだ踊り。
タイトルのバラカ(balaka)とは、祝福を意味するアラビア語で、神が預言者や聖者に与えた霊的な能力を指して用いられる。カマラ・オノノはアラブ首長国連邦のドバイに過去6年間住み、パフォーマンスを行っていたようで、その頃の経験も本作に強く反映されている。
「突撃の前の深呼吸、未知の深みに飛び込む前の静寂の瞬間に捧ぐ」
イヒエル・カマラ・オノノは本作について、次のように語っている:
このアルバムは、突撃の前の深呼吸、未知の深みに飛び込む前の静寂の瞬間に捧げられている。
worldtreasuresmusic.com
このアルバムは、実を結んだ犠牲だけでなく、無駄に捧げられた供物にも捧げられている。
痛み、後悔、喜び、希望を受け入れ、清算する。
私たちは、このアルバムがあなた自身を勇気づけることを願っている。
Balimaya Project :
Yahael Camara-Onono – djembe
N’famady Kouyaté – balafon, sangban, voice
Jali Bakary Konteh – kora
Skanda Sabbagh – dounoun
Adeegun Crispin Robinson – congas, voice
Paul Goumou – omele, shekere
Michael Adesina – talking drums
Moses Olukayode – talking drums
Yohan Kebede – keyboards
Godwin Sonzi – guitar, voice
Jonathan Monga Moko – bass, voice
Nathaniel Cross – trombone
Joe Bristow – trombone
Elias Ntiamoah Atkinson – flugelhorn, trumpet
Ife Ogunjobi – trumpet
Triston Dubison – drums
Mariam Tounkara Koné – vocals
Guests :
Afronaut Zu – vocal (1)
Obongjayar – vocal (5)
Fassara Sacko – vocal (7)