スペイン、ブラジル、キューバ、インドの4人によるカルテット作
世界がパンデミックの危機に陥る直前の2020年1月、スペイン出身の歌手/作曲家アルバ・サントス(Alba Santos)、キューバのベーシストのアニエル・ソメイラン(Aniel Someillan)、ブラジルのドラマー、イサイアス・アウヴェス(Isaías Alves)、そしてインド出身ピアニストのアヌラグ・ナイドゥ(Anurag Naidú)の4人の傑出した音楽家たちが スリランカに集い、7日間の創造的な合宿で一枚のアルバムを録音した。『Odyssey』と名付けられたアルバムは2023年にリリースされ、世界を跨いだ彼らの“冒険旅行”の成果を、その素晴らしい音楽から窺い知ることができる。
アルバ・サントスはブラジル音楽を学ぶためにアントニオ・カルロス・ジョビンによって設立されたサンパウロのトム・ジョビン・サンパウロ州立音楽学校(EMESP Tom Jobim)を卒業。アニエル・ソメイランのプロデュースにより2019年にデビュー作『Improvisación』をリリースしており、本作がフルアルバムとしては第二作目となる。前作も相当にクオリティの高い作品だったが、今作ではより音楽性の幅も広がり、ラテンやブラジル音楽のエッセンスも含んだ現代的なジャズとなっている。
イサイアス・アウヴェスの作曲による(8)「O Corvo」を除き、全曲がアルバ・サントスのオリジナルもしくはバンドメンバーとの共作曲。比較的メロディーもリズムも明瞭で、即興の余地も多めに残した作風は、サンパウロのノヴォス・コンポジトーレス(新しい作曲家たち)の潮流、とりわけその首謀者であるダニ・グルジェル(Dani Gurgel)の音楽性を彷彿させる。
ヒップホップやアフロビートも取り入れたタイトなリズムの上で各パートが自由に歌う、ポジティヴで幸せなサウンドが気持ちいい。
Alba Santos – vocal
Isaias Alves – drums, percussion
Aniel Someillan – bass
Anurag Naidú – piano