ブエノスアイレスの新星ギタリスト、イヴォ・マッツェオ。ジャズへの深い愛情を湛えたデビュー作

Ivo Mazzeo - Dualidad

アルゼンチンのギター奏者、イヴォ・マッツェオのデビュー作

アルゼンチン・ブエノスアイレスのギタリスト/作曲家イヴォ・マッツェオ(Ivo Mazzeo)のデビュー作『Dualidad』
アルゼンチンを代表するピアニスト、エルナン・ハシント(Hernán Jacinto)の新トリオをバックにストレートアヘッドなフォービートから南米らしく洗練された歌心を聴かせるものまで、優れたギタージャズを展開する好盤だ。

6曲中、4曲がイヴォ・マッツェオのオリジナル。楽曲はどれも個性的で良曲ばかりだ。
美しいハーモニーとメロディが魅力的な(1)「Forzado」は5拍子と6拍子を組み合わせた変則的なリズムも自然で、高い作曲能力を窺わせる。

(1)「Forzado」

オーネット・コールマン(Ornette Coleman, 1930 – 2015)のカヴァー(2)「When Will the Blues Leave」はドライヴ感溢れるフォービートで、テーマはギターとピアノのユニゾンで演奏され、ギターソロ、ピアノソロ、ベースソロと回される古き良きジャズの趣。

“白象”を意味する(3)「Elefante blanco」はフェルナンド・モレノ(Fernando Moreno)によるピッチを低めにチューニングされたスネアは力強く、フラビオ・ロメロ(Flavio Romero)のベースソロも素晴らしい。

(4)「Contrafacto」もイヴォ・マッツェオのオリジナルだが典型的なフォービート・ジャズだ。コード進行からインスピレーションを受けて即興的なメロディを組み立てたジャズメン・オリジナルらしい楽曲で、流麗なアドリブソロでギタリストとしての圧倒的な才能を誇らしげに示す。

(4)「Contrafacto」

(5)「My Ideal」はリチャード・ホワイティング(Richard Whiting, 1891 – 1938)とニューウェル・チェイス(Newell Chase, 1904 – 1955)作曲の古い楽曲のカヴァー。1930年のミュージカル『Playboy In Paris』の挿入歌で、作曲者の娘であるマーガレット・ホワイティング(Margaret Whiting)が1940年代に歌い、大きなヒットなく徐々にスタンダードとなっていった楽曲で、こうした渋めの選曲もイヴォ・マッツェオのジャズへの愛を感じさせる。エルナン・ハシントのピアノソロも最高に古典的で素晴らしい。

(6)「Suposición」は2拍4拍にアクセントが効いたブラジルのサンバを意識したような楽曲で、楽しげにアルバムの大円団を迎える。

Ivo Mazzeo – guitar
Hernán Jacinto – piano
Flavio Romero – double bass
Fernando Moreno – drums

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