咽ぶようなグルーヴの渦へ導く、ミネアポリスのアフロファンク
ミネソタ州ミネアポリスのアフロ・ファンクバンド、ブラック・マーケット・ブラス(Black Market Brass)が3枚目となるアルバム『Hox』をリリース。アナログの録音プロセスに拘った70年代風のサウンドにはアフロビートへの最大級のリスペクトが込められる。
バンドはナイジェリアやガーナの打楽器やリズムの文化に、グリッチのあるシンセ、深く歪んだファズの効いたギター、咽ぶようなトランペットやバリトンサックスが乗り呪術的なグルーヴを生み出す。粗野で直感的なバンド・アンサンブルは人間の本能の中にある音楽を呼び覚ますような感覚を受ける。
本作のハイライトとなるアフロ・ファンク(2)「Echo A.D.」を聴けば、一瞬でこのバンドのグルーヴに夢中になってしまうだろう。サウンドには随所に彼らの哲学やこだわりが見てとれるが、結局は何も考えずにただ音に身を任せ踊りたくなる“ダンス・ミュージック”だ。
「僕らは雷をボトルの中に閉じ込めようとしているんだ」バリトンサックス奏者のコール・ピュリス(Cole Pulice)は語る。
打楽器のみの強烈なアンサンブル(4)「Hox B」、いわゆるヨナ抜き(エチオピア独特の五音音階で、日本の民謡や演歌によく用いられるものと同様の音階)を用いたエチオジャズ(5)「A Web, A Knot, A Tangle」は強烈な印象を残す。
12曲を収録したアルバムは最初から最後まで通底するある種の狂気的な音楽への信仰心に支えられている。とくに激しく燃え上がるように展開する(11)「The Rift / Hox Z / Desolation Overdrive」は驚異だ。
Cole Pulice – baritone saxophone
Charlie Bruber – bass
David Tullis – congas
Murphy Janssen – drums
Mitch Sigurdson – guitar
Sam Harvey-Carlson – keyboards, synthesizer
Luke Rivard – percussion
Cameron Kinghorn – trumpet
Cody LeDuc – trombone
John Peters – engineer
Doug Krebs – mastered by