最高の聴き心地。マイアミのオルガントリオの新作
フロリダ州マイアミのソウル・ジャズ・オルガントリオ、レモン・シティ・トリオ(Lemon City Trio)の新譜『Postcards』。雷鳴のような適度に歪んだギターを中心とした歌心と野生味が溢れるジャズで、オルガントリオという編成のファンには堪らない音だ。
マイアミの現在は“リトルハイチ”と呼ばれる地区の旧称を冠したこのバンドは、The Politixというバンドのメンバーだったギタリストのニック・タヌーラ(NIck Tannura)とドラマーのアーロン・グリュッカウフ(Aaron Glueckauf)の二人に、オルガン/キーボードの“魔術師”ことブライアン・ロバートソン(Brian Robertson)が加入し結成された。近隣ルイジアナ州ニューオーリンズのジャズやケイジャン音楽にも強い影響を受けながら独自の音楽を探求してきたバンドで、オルガントリオの中でもニッチな地位を確立してきた。
音楽性は複雑なものではないが、エッジを効かせつつも、ひたすらに心地よいサウンドを追求し辿り着いたような安心感を感じさせる。アーロン・グリュッカウフによる解像度の高いビート、ニック・タヌーラの実直なギター、そして幻想的な音響空間を作るブライアン・ロバートソンの鍵盤が三位一体となって生み出された、新しい時代のジャズといえる作品だ。
Lemon City Trio :
Nick Tannura – guitar
Aaron Glueckauf – drummer
Brian Robertson – organist, keyboards