シリア出身クラリネット奏者キナン・アズメとNYの革新的弦楽四重奏団の共演作

Kinan Azmeh & Brooklyn Rider - Starlighter

Kinan Azmeh & Brooklyn Rider『Starlighter』

シリア出身のクラリネット奏者/作曲家キナン・アズメ(Kinan Azmeh)と、米国の弦楽四重奏団ブルックリン・ライダー(Brooklyn Rider)の共演作『Starlighter』は、クラシックやジャズの分野で革新的な活躍を続ける両者の長年のコラボレーションを記念するクラリネット五重奏の作品だ。

静謐で洗練された中に、ふくよかなクラリネットの音色で奏でられる中東音楽の旋律をさりげないスパイスのようにブレンド。緻密にアレンジされたアンサンブルは細部まで実に表情豊かで心地よい。数曲でスイス出身のパーカッション奏者マティアス・クンズリ(Mathias Kunzli)も参加し、リズムによって全体を強力に推進するエキサイティングな演奏を聴かせてくれる。

ライヴの動画

(1〜3)「In the Element」と(5)「Dabke on Martense Street」はキナン・アズメ作曲。
(4)「Starlighter」と(6)「Everywhere Is Falling Everywhere」はキナン・アズメとブルックリン・ライダーの共作曲。

Kinan Azmeh プロフィール

キナン・アズメは1976年シリア・ダマスカス生まれ。6歳からクラリネットを始めた彼は、8歳のときに初めて曲を書き、タイトルに「お母さんへ」と付けたが、1年後に少し罪悪感を感じて「お父さんと妹」も付け加えたという。

ダマスカスの音楽院でアラビア音楽やクラシックを学び、米国ニューヨークのジュリアード音楽院で音楽の修士号を取得した。1997年、ロシアのモスクワで開催されたニコライ・ルビンスタイン国際青少年コンクールでアラブ人として初めて優勝。

クラリネットのソリストとしてニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団、シアトル交響楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、カタール・フィルハーモニー管弦楽団、シリア交響楽団など世界各地のオーケストラで演奏したり、ヨーヨー・マ、ジョン・マクララフリン、ラーシュ・ダニエルソンといった著名な演奏家と数多くの共演を重ねてきた。

キナン・アズメは音楽をジャンルに分類することを嫌う。彼にとって音楽とはただの音楽であり、クラシック、東洋、西洋、または現代音楽といった分類は意味のないものだという。彼がこれまでにあらゆる音楽から少しずつ影響を受け、彼自身のものとして消化し、その時々のインスピレーションを得て演奏する音楽は、それはどのようなサウンドであれ、等しくキナン・アズメという極めて個性的なアーティストの音となって表れる。

Brooklyn Rider プロフィール

ブルックリン・ライダーはニューヨーク市ブルックリンを拠点とする弦楽四重奏団で、メンバーはヴァイオリンのジョニー・ガンデルスマン(Johnny Gandelsman)とコリン・ヤコブセン(Colin Jacobsen)、ヴィオラのニコラス・コーズ(Nicholas Cords)、チェロのマイケル・ニコラス(Michael Nicolas)で構成されている。
彼らの音楽もまた、ジャンルを枠を超える。クラシックが中心にあることは間違いないが、ジャズ、フォーク、ロック、世界各地の伝統音楽といった音楽を分け隔てなく吸収しアレンジに加え、個性的な演奏表現の一部としている。

2008年にファーストアルバム『Passport』でデビュー。この作品は米国ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)によって同年のベスト・クラシック・アルバムのひとつに選出され、以来もっとも革新的でエネルギーに溢れる弦楽四重奏団として世界各地でコンサートを行なったり、ジャンルを超えて各国のアーティストとの共演を続けている。

Kinan Azmeh – clarinet

Brooklyn Rider :
Johnny Gandelsman – violin
Colin Jacobsen – violin
Nicholas Cords – viola
Michael Nicolas – cello

Mathias Kunzli – percussion

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