打楽器奏者ルイ・ロペス・ヌッサによる名曲カヴァー集
キューバを代表するドラマー、ルイ・ロペス・ヌッサ(Ruy López Nussa)による新譜『Versiones de La Academia』がリリースされた。今作は彼が指導を務めるハバナにあるキューバ音楽研究所(Cuban Institute of Music)の2009年始動のプロジェクト、「La Academia」のためにアレンジされた著名な楽曲のカヴァー集となっており、お馴染みの名曲をキューバン・ジャズで楽しむことができる。
取り上げられている楽曲はジャマイカのレゲエの先駆者ボブ・マーリー(Bob Marley)の(1)「Could You Be Loved」に(5)「No Woman, No Cry」、ブラジルのSSWジャヴァン(Djavan)がスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)らと録音したMPB屈指の名曲(2)「Samurai」、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の大ヒット(4)「Human Nature」など。
アレンジといってもリハーモナイズはほとんど施されておらず、主にリズム面でオリジナリティを打ち出している。ルイ・ロペス・ヌッサのドラムスや複数のパーカッション、シンコペーションするピアノ、強烈なブラスなどこれぞキューバン・ジャズ!という爽快感だ。(6)「Nostalgias」はアルゼンチンの作曲家フアン・カルロス・コビアン(Juan Carlos Cobián)の曲で、原曲は哀愁漂うタンゴなのだが、ここでは陽気なキューバ音楽へと完全な変貌を遂げており、まるで最初から彼らラ・アカデミアのために書かれた曲かのようだ。
Ruy López Nussa プロフィール
ルイ・ロペス・ヌッサはキューバ人画家の父親と、フランス出身で学者の母親のもと1957年にメキシコシティに生まれ、翌年からキューバ・ハバナで育った。幼い頃より打楽器の演奏をはじめ、1976年にはピナール・デル・リオの芸術学校で打楽器教師として就任している。
1980年からはプロのミュージシャンとして活動を開始。ロックからキューバの伝統的なポピュラー音楽、ジャズまで幅広く活躍した。2000年代のはじめには『ブエナビスタ・ソシアル・クラブ』のバンドメンバーとしても世界をツアーしている。
2009年に学術とコンサートでの演奏を目的としたプロジェクト「ラ・アカデミア(La Academia)」を創設。主にキューバ国内で複数回のツアーを実施、2012年からはCDの制作も開始した。
実弟エルナン・ロペス・ヌッサ(Ernán López-Nussa, 1958 – )と、実子アロルド・ロペス=ヌッサ(Harold López-Nussa, 1983 – )はともにキューバを代表するピアニスト。
Ruy López Nussa y La Academia :
Ruy López-Nussa – drums
Jorge Luis Pacheco – piano
Miguel Angel García – piano
Harold Charón – piano
Octavio Rodriguez – percussion
Otto Santana – percussion
José Hermida – bass
José Arnulfo – bass
Roberto García – trumpet
Michel Ruiz García – trumpet
Mayquel González – trumpet
Ivan Ivanovich – saxophone
Alieny Abreu – vocal