フランスから要注目の新星ピアノトリオ登場。マルク・プリオーレ・トリオのデビュー作『Initio』

Mark Priore Trio - Initio

優れた美的感覚とテクニックを兼ね備えた注目のピアノトリオ

フランスの新鋭ピアノトリオ、マルク・プリオーレ・トリオ(Mark Priore Trio)がデビュー作『Initio』をリリースした。トリオは2023年に創設されたばかりの若手ジャズタレント・コンテストであるルネ・ユルトルジェ賞(Prix René Urtreger)の審査員賞に輝いており、本作ではフレンチ・ジャズの次世代を担うであろう彼らの実力を余すところなく鑑賞することができる。

全10曲、ピアノのマルク・プリオーレ(Mark Priore)の作曲。5歳からピアノを始め後期バロック時代の作曲家ヘンデルに陶酔し、デイヴ・ブルーベック、マッコイ・タイナー、アーマッド・ジャマル、オスカー・ピーターソン、トム・ジョビン、アリス・コルトレーンといった先人たちからも多大な影響を受けてきたという彼の音楽はヨーロッパ的な感性の上に確かなジャズの歴史が香る、非常に上質で深みのある仕上がり。

(1)「Orphée et Eurydice (Acte IV)」は今作中もっとも異色の作品だ。何かが起こりそうな気配のするリズムの積み重ね、その昂りが絶頂に達しかけたとき、突如として湧き立つピアノの右手のパッセージ。構成も演奏も非常にドラマチックで、ギリシャ神話を元にした架空のオペラのような壮大さが圧巻だ。

つづく(2)「Consolation」はビル・エヴァンスの叙情性をヨーロッパで再現したかのようなバランスの取れた美しい演奏。この感覚の優雅さはその後のアルバム全編をも支配しており、マルク・プリオーレというピアニストの個性を特徴づけている。

(2)「Consolation」

(6)「Escale」などはフォービートの比較的ハードな曲調・演奏だが、アドリブでの音選びはやはりヨーロッパ的な感性が優っており優美な印象。(9)「Adagio」にはやはりバロック音楽の影響が伺える。

優れた音楽的感性と、それを完璧に表現し得るテクニック。それらを兼ね備えた素晴らしいトリオ。これからの活躍が楽しみだ。

アルバムの最後を飾るのは楽しげな(10)「Rouge-Gorge」

Mark Priore Trio :
Mark Priore – piano
Juan Villarroel – contrabass
Elie Martin-Charrière – drums

Mark Priore Trio - Initio
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