ギリシャ発、世界の民俗音楽をつなぐアコーディオンとチェロのデュオ Tales from the Box

Tales from the Box - Ciel

世界の民俗音楽をつなぐ、アコーディオンとチェロのデュオ

ギリシャのアコーディオン奏者/作曲家サノス・スタヴリディス(Thanos Stavridis)と、同じくギリシャ出身のチェロ奏者ステラ・テンプレリ(Stella Tempreli)による初のデュオ・アルバム『Ciel』には素敵な音が詰まっていた。

アルバムにはデュオ名テイルズ・フロム・ザ・ボックス(Tales from the Box)、つまり楽器の箱の中から生まれた夢のような物語を体現した11の楽曲が収録されている。演奏形態は二人のデュオから、曲によってドラムスやベースが加わったカルテット編成になったり、ヴィブラフォンやパーカッションのゲストが加わったりと変化に富む。

アコーディオンもチェロも西洋の古典音楽をはじめ世界各地で古くから用いられてきた楽器だ。たとえば(2)「As If in a Dream」でのケルト音楽や、(3)「Sunset Bossa」のボサノヴァに(6)「Um Tom Para Jobim」のフォホー、(8)「Rain Waltz」のミュゼット、さらには(10)「Anemos」のアルゼンチン・タンゴなど、特にアコーディオンという楽器で表現しうる世界の音楽の幅広さにあらためて気付かされる。

(5)「After the Rainbow」

11曲中8曲はサノス・スタヴリディスのオリジナルで、どれも映像的な美しさがあり色彩豊か。
(6)「Um Tom Para Jobim」はブラジル北東部音楽の巨匠シヴーカ(Sivuca)、(9)「Amischa」はフランスのアコーディオン奏者ジャン=ルイ・マティニエ(Jean-Louis Matinier)、そしてラストの(11)「Ave Maria」はJ.S.バッハ/グノーの古典的名曲のカヴァーとなっている。

どこかノスタルジックな優しさのある素晴らしい作品だ。

プロフィール

アコーディオン奏者のサノス・スタヴリディスはギリシャのテッサロニキ県ランガダス出身。6歳でアコーディオンを学び始め、音楽理論、和声、対位法、フーガ、民族音楽学の学位を取得している。バルカン半島の民俗音楽に強い関心を寄せており、アコーディオンがソロまたは伴奏楽器としてどのように使用されるかを研究してきた。
これまでにソリストとしてもオーケストレーターとしても100枚以上のアルバムのレコーディングに参加。ソロ名義では『A Suitcase Full of Dreams』(2016年)と『Spicy Margarita』(2021年)の2枚のアルバムをリリースしている。

チェロ奏者のステラ・テンプレリは1992年ギリシャ・テッサロニキ生まれ。マケドニア大学音楽科学芸術学部でチェロを専門的に学び、同大学の室内学コンクールでは優勝経験も。
2018年にサノス・スタヴリディスのプロジェクト「Tales from the Box」にチェロ奏者として参加し、今作のリリースに至った。

Thanos Stavridis – accordion, Fender Rhodes
Stella Tempreli – cello
Giannis Papatriantafillou – double bass
Nikos Vargiamidis – drums

Guests :
Giotis Kiourtsoglou – electric bass
Yiannis Papatriandafillou – double bass
Dimitris Angelakis – vibraphone
Angelos Polychronou – percussion
Dimitris Klonis – drums
Christos Tassios – percussion
Dimitris Zacharakis – vibraphone

Tales from the Box - Ciel
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