自由な実験精神を発揮するハンガリー/オーストリアのカルテット、András Dés Quartet

András Dés Quartet - Unimportant Things

アンドラーシュ・デーシュ・カルテットによる実験的ジャズ

ハンガリー出身、現在はオーストリアのウィーンを拠点とする打楽器奏者/作曲家アンドラーシュ・デーシュ(András Dés)がカルテット編成での新作『Unimportant Things』をリリースした。バンドには同郷の盟友ギタリストマールトン・フェニヴェシ(Marton Fenyvesi)のほか、オーストリアの名手であるトランペット奏者マルティン・エバーレ(Martin Eberle)とピアニストのフィリップ・ニクリン(Philipp Nykrin)が参加。現代的でアーティスティックな実験性を帯びた刺激的な演奏を繰り広げている。

ベースレスの編成のためサウンドの重心は決して低いわけではないが、その雰囲気は静謐かつ重みを持つ。アンドラーシュ・デーシュがドラムセットに組み込む様々なパーカッションの音や、エフェクターを駆使し空間的なサウンドをつくるマールトン・フェニヴェシのギターがアンサンブルの基礎を作り、フィリップ・ニクリンが豊かなハーモニーやオブリガートを提示し、マルティン・エバーレが抒情的なトランペットで物語の軸を形作る。緻密なストーリーはやがてフリージャズに昇華してゆくが、向かう目的地に乱れはない。

(5)「3rd Song」

András Dés プロフィール

アンドラーシュ・デーシュはハンガリーの首都ブタペストに1978年に生まれた。父親はサックス奏者のラースロー・デーシュ(László Dés)。

パーカッション奏者はあらゆるものを自らの手で楽器に変えることができるという観点で自由度の優位性をもつと考えており、そのオープンな姿勢がジャンルに囚われない活動に結びついている。
ハンガリーのバコニの森で録音された2020年作『einschließlich』では、彼は通常のドラムセットを使うことを避け、代わりに木や石や水、つまり“森そのもの”を打楽器として演奏してみせた。

これまでに東欧の伝統音楽やジャズを中心に100枚以上のアルバムの録音に参加。その中にはアゼルバイジャンを代表するピアニスト、エルチン・シリノフ(Elçin Şirinov)との名作『Maiden Tower』も含まれている。

Martin Eberle – trumpet
Philipp Nykrin – piano
Márton Fenyvesi – guitar
András Dés – percussion

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