RUNA『When the Light Gets In』
結成15年を迎え、アメリカのケルト音楽シーンをリードするバンド、ルナ(Runa)が通算8枚目の作品 『When the Light Gets In』をリリースした。ケルト音楽を根幹としながらも、アメリカーナやフランメンコの要素もさりげなく取り入れた独自色の強いサウンドは“フォーク・ミュージック”と呼ぶにはあまりに魅力的だ。
バンドは5人組で、女性ヴォーカリストのシャノン・ランバート・ライアン(Shannon Lambert-Ryan)と、その夫でギターやベース、コーラスを担当するダブリン出身のフィオナン・デ・バーラ(Fionán de Barra)が中心となり、フィドル/マンドリンのトム・フィッツジェラルド(Tom Fitzgerald)、フィドルのジェイク・ジェイムス(Jake James)、そしてパーカッションのシェリル・プラシュカー(Cheryl Prashker)から成る。彼らの楽曲の骨格はルーツ・ミュージックらしくシンプルだが、シャノンの自然体かつ芯の通ったヴォーカル、踊りたくなるようなフィドルの即興演奏、地味だが小技の効いたアコースティック・ギター、そしてアイリッシュ音楽に特徴的なバウロン(フレームドラム)などが絡んだ絶妙なアンサンブルの完成度が素晴らしい。
アルバムはアイルランド・ゲール語で歌われる伝統曲(1)「O Dheara, ‘Sheanduine」で幕を開ける。歌詞は若い女性に対し「決して遺産目当てで年老いた男と結婚するな」と諭す(教訓なのかユーモアなのかよく分からないが、“彼女”は毎朝、隣で寝ている“彼”がまだ生きていることに絶望する)内容で、まぁ、曲調からして一種のジョークなのだろうがとても面白い楽曲だ。
(2)「Indiana」はアンディ・ミッチェル(Andy Mitchell)作詞作曲による楽曲のカヴァー。素朴な曲調はスコットランドから米国インディアナ州に移住した友人について歌う。
(3)「Hùg Air A’Bhonaid Mhòir」はスコットランドの女性SSWジュリー・ファウリス(Julie Fowlis)のカヴァー。超早口の歌詞と、何気なく完璧なシャノンのフィオナンのコーラスワークが見事だ。
「私たちは何百年も歌い継がれてきた曲を、アレンジを変えたり、新しいリズムを加えたりして、自分たちのものにするというチャレンジが大好きなんです」と語る彼女らによる“新しいケルト音楽”を、ぜひ体験していただきたい。
RUNA :
Shannon Lambert-Ryan – vocals, bodhrán
Fionán de Barra – guitar, bodhrán, vocals, bass
Cheryl Prashker – percussion, vocals
Tom Fitzgerald – fiddle, mandolin, strings
Jake James – fiddle
Guests :
Shane Cook – fiddle
David Rogers – accordion
Caleb Christopher Edwards – mandolin, vocals
Benoit Bourque – vocals, accordion
Antoine Pigeon-Bourque – vocals, accordion