現代の鍵盤神ヘスス・モリーナ、ラテンもブラジルもプログレも飲み込んだ最強新譜『Selah』

Jesus Molina - Selah

この高揚感はほかにない。2024年注目のプログレ・ジャズ

卓越した演奏技術とジャズ、ラテン、プログレなど幅広い音楽性で注目されるコロンビア出身の鍵盤奏者、ヘスス・モリーナ(Jesus Molina)の最新作『Selah』がリリースされた。アルバムのタイトルは「賞賛」や「高揚」を意味する祝福の言葉で、音楽に対する彼のスピリチュアルなアプローチを表している。

タイトル曲である(1)「Selah」から、その高揚感を感じ取ることができるだろう。変拍子が連続する複雑な構成の楽曲だが、全面的にキャッチーなメロディーやドラマティックな場面転換とも相まって人懐っこい温かさすら感じさせる。

(2)「Dear Fall」にはジャズ・フルートの巨人ヒューバート・ロウズ(Hubert Laws, 1939 – )が参加。曲調はエルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)やリターン・トゥ・フォーエヴァー(Return to Forever)を思わせるブラジリアン・フュージョンで、自然と身体を踊らさせる最高のトラックだ。

(5)「Pichi」

バンドはイスラエル出身のベース奏者ガイ・バーンフェルド(Guy Bernfeld)、米国マイアミ州出身のドラマーカイン・ダニエル(Cain Daniel)、韓国出身のギター奏者ロック・チョイ(Rock Choi)など国際色豊かなメンバーを揃える。さらにはゲストとして前述のヒューバート・ロウズの他にもメキシコのSSWノエル・シャヒリス(Noel Schajris)、ヴァイオリン奏者ルチア・ミカレリ(Lucia Micarelli)が参加している。

アルゼンチン/メキシコのSSW、ノエル・シャヒリスを迎えた(3)「Soul Journey」

Jesús Molina & HAEINSANE プロフィール

ピアノと作曲を担当するヘスス・モリーナ(名前を英語読みしたジーザス・モリーナというカナ表記も見られる)は1996年コロンビア北西部のスクレ州都シンセレホ生まれ。4歳の頃からキーボードに触れ始め、12歳からサックスも学び、15歳からはピアノに集中。2014年頃から様々なジャズフェスティヴァルに出場し脚光を浴びると、2016年にはラテン・グラミー文化財団から奨学金を授与され、米国のバークリー音楽大学で学んだ。

2017年にフルアルバム『For You』でデビュー。2023年には韓国出身のチェリスト、HAEINSANE(Haein Kim)とのデュオ作品『Cello Stories』をリリースしている。

ヘスス・モリーナは、人々に喜びをもたらすために音楽を演奏している。それは、幼少時から彼の母親が教えてきたことだったという。

(6)「Quintuplets」。ヘスス・モリーナのソプラノ・サックスのソロも。

Jesus Molina – piano, keyboards, synthesizers, saxophones
Guy Bernfeld – bass
Cain Daniel – drums
Rock Choi – guitar
Dave Mann – saxophones
Kyle Zimmerman – tenor saxophones

Guests :
Hubert Laws – flute (2)
Noel Schajris – vocal (3)
Lucia Micarelli – violin (4, 7)

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