ノルデスチとニューオーリンズを直線で繋ぐブラスバンド、Nation Beat 新作『Archaic Humans』

Nation Beat - Archaic Humans

ブラジル・ノルデスチとニューオーリンズを繋ぐブラスバンド

ブラジル北東部の独特のリズムと、ニューオーリンズ・ジャズの共通点を追求するブラスバンド、ネイション・ビート(Nation Beat)。20年にわたって南北アメリカの文化の類似点を探究してきたリーダーで打楽器奏者のスコット・ケトナー(Scott Kettner)が率い、女性スーザフォン奏者ヘザー・イエワー(Heather Ewer)が低音を支える彼らの新作『Archaic Humans』は、一見異なる音楽文化もごく自然と融合でき、それが新しさを強力な推進力をもって生み出す原動力となり得ることを証明する優れた作品だ。

ブラスバンドは5人編成で前述の二人のほか、サックスのポール・カーロン(Paul Carlon)、トランペットのマーク・コリンズ(Mark Collins)、そしてトロンボーンのトム・マックヒュー(Tom McHugh)という構成。ブラス・サウンドを軸にしながら、拡張的に様々なパーカッションやゲストによるヴォーカルが彩りを添えるという構成。ニューオーリンズ・マルディグラの特別な祝祭感と、ブラジル北東部のマラカトゥやフォホーといった舞踏音楽が見事に融合した音楽の高揚感はこれまでにありそうでなかった。

ゲスト参加の中でも特筆すべきは、ワシントンD.C.出身でグラミー賞にもノミネートされた経験がある男性ラッパー、クリスタイルズ・ベイコン(Christylez Bacon)と南アフリカ出身の女性シンガー、メラニー・ショルツ(Melanie Scholtz)だろう。彼らの存在はノルデスチ×ニューオーリンズを音楽の幹とするバンドにヒップホップやR&Bのテイストをもたらす。歌はラップは基本的に英語だが、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)のカヴァーである(12)「Inútil Paisagem」はメラニー・ショルツによってポルトガル語で歌われている。

ラッパーのクリスティレス・ベイコン(Christylez Bacon)をフィーチュアした(7)「Give a Little」

スコット・ケトナーは次のような哲学を語っている:

ネイション・ビートは、ルーツに基づく伝統に触れ、私たちの周りの人々に影響を与える新しい音楽を作り、それらの違いよりも類似点のほうが大きいことを認識し確信することで、そういった声を表面化させることを目指しているんだ。

www.nationbeat.com

ラストの(13)「A New Flow」はスコット・ケトナーのパンデイロによる伴奏とクリスティレス・ベイコンのラップ/ヒューマンビートボックスという最小限の編成で最高にかっこいい音楽を奏でる。

Nation Beat :
Scott Kettner – drums, percussion
Paul Carlon – tenor saxophone, horn arrangements
Mark Collins – trumpet
Tom McHugh – trombone
Heather Ewer – sousaphone

Guests :
Melanie Scholtz – vocals (5, 10, 12)
Christylez Bacon – beatbox, rhymes (7, 13)
Luca Texeira – percussion (2, 9)
Michael Spiro – congas, percussion (8, 11)

Nation Beat - Archaic Humans
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