フィン・リーズのデビュー作は珠玉のラージ・アンサンブル
タスマニア生まれ、メルボルン在住の鍵盤奏者/作曲家フィン・リーズ(Finn Rees)。30/70やClose Counters、アリーシャ・ジョイ(Allysha Joy)などのキーボード奏者としてメルボルンの音楽シーンで活躍する彼のソロ・デビュー作『Dawn Is A Melody』がリリースされた。最大で10人を超える色彩豊かなラージ・アンサンブル・ジャズで、エキサイティングな音楽体験を得られる絶品だ。
人生という旅路、その過程における成長と変化、そして彼が育ったタスマニアの雄大な自然がインスピレーションの源になっているという。管楽器やストリングス・セクション、ハープ、複数のパーカッションを擁するバンドは心地よい緊張感があり、ポジティヴなエネルギーを生み出す。
ヘンリー・ジェンキンズ(Henry Jenkins)が手がけるレコーディングとミキシングも素晴らしく、そのヴィンテージな質感はスピリチュアル・ジャズの現代の到達点を示すようだ。
アルバムの最初のハイライトは8分半におよぶ大作(2)「Lagoon」だ。アルトサックスのジョシュ・モッシュ(Josh Moshe)、テナーサックスのシェリル・ドゥロンピシトクル(Cheryl Durongpisitkul)などメルボルンの現代ジャズシーンの精鋭たちが一堂に会する熱いセッションは、まさに“音の洪水”。
(4)「It’s Behind Me Now」はハービー・ハンコック(Herbie Hancock, 1940 – )からの影響を伺わせるハーモニー感覚が秀逸。
(5)「Expansion」ではブラジルのグルーヴを取り入れている。この曲に限らずフィン・リーズはグランドピアノだけではなくアナログシンセも弾いており、効果音的に用いるその音色や演奏のセンスも抜群。
Finnian Rees – piano, Rhodes Mk1, Moog Grandmother, Prophet 6, Nina Synth, percussion, vocals
Lucky Pereira – drums
Blakely McLean Davies – upright bass, bass FX
Audrey Powne – trumpet
Cheryl Durongpisitkul – tenor saxophone
Josh Moshe – alto saxophone
Siwei Wong – harp
Dom Kirk – percussion
Allysha Joy – vocal, percussion
Ryo Montgomery – nylon string guitar
String Section :
Chloe Danger
Eunise Cheng
Nils Hobiger
Blakely Mclean Davis