先日の記事で子守唄の作曲を依頼した経験について紹介しているが、実は子守唄に関してはもう一つ出会いがあった。
それが、子供の誕生前にアメリカの知人が送ってくれたアルバム「The World Sings Goodnight」だ。
筆者の手元に届いたのはCD版だが、Spotify など、各種ストリーミングサービスでも聴くことができる。
世界の子守唄33曲が1つのアルバムに
このアルバムは「33の文化の子守唄を原語で(Lullabies of 33 cultures sung in their native tongues)」収録していることが売り。
ジャケット中央には親子の姿が描かれ、左右にさまざまな服装・楽器を身につけた人々の絵が並んでいる。
三味線のような4弦楽器を弾く日本風の女性の姿も(右サイドの下から2番目)。
曲調は千差万別
1曲あたりの時間は短いもので30秒ほどで、長いものでも3分強。スタジオ録音の聴きやすい音質だ。
音程の上下が少なく、単調なリズムの繰り返しで眠りに誘うものもあれば、優しいメロディーで夢の世界を表現するものも。
アメリカで編まれたアルバムということもあり、33曲中アメリカからのものが5曲。
4. U.S.A. (Southern Gospel)
14. U.S.A.
17. U.S.A. (Cajun French)
20. U.S.A. (Ogalala Sioux Indian) – by Jerry Garrett
26. U.S.A. (Western) – by Rolland Fischer
印象に残った子守唄
筆者の印象に残った子守唄をいくつか紹介していく。
優しさと物寂しさ:16. Indonesia (Sumatra-Medan) – by Bedjo Mankekar
優しさと物寂しさが共存する歌声。ガムランの鉄琴(サロン)にも似た金属音を伴奏に。
ビートと共に快い眠りへ:13. Ethiopia – by Tsehay Hailu
穏やかな低音のビートから始まり、ループ感が心地よい。
寝かしつけの情景が浮かぶ:33. Senegal – by Yammar Thiam
特に筆者の印象に残ったのが、アルバムの最後に収められていたセネガルの子守唄。
歌い出しからスッと引き込まれる。
途中に入る掛け声や、だんだんと小さくなっていく声のトーンからは、目覚めかけてしまう子をなだめながら眠りへと誘う様子がありありと浮かんだ。
楽器伴奏付きで収録されている曲も少なくない中、肉声のみの温かみがじんわりと沁みる。
日本の子守唄は?
アルバムを一度通して聴いた際には気づかなかった(!)のだが、日本の子守唄も収録されている。
調べてみたところ「竹田の子守唄」のようだ(地域が違うため筆者には馴染みがなかった)。
9. Japan – by Nanwei Chin Su
子守唄聴き比べの旅へ
このThe World Sings Goodnight、子供を眠りに誘う歌を集めたアルバムのはずだが、1曲ごとの個性の違いが際立つため、実際の寝かしつけには向かないかもしれない。
疲れた頭をぼんやりほぐしたい時、普段と違う系統の音楽に触れるきっかけを作りたい時などに聴いてみてはいかがだろうか。