ポジティヴなオーラに満ちた絶妙のファンク・サウンド
リード・リズムギターのトップランナー、コリー・ウォン(Cory Wong)がオランダのオーケストラ、メトロポール・オルケスト(Metropole Orkest)との共同名義の新譜『Starship Syncopation』をリリースした。タイトルどおり、ご機嫌なシンコペーションに溢れた眩しいほどのファンクネスが次々と畳み掛けてくる快演の連続が最高に楽しい作品に仕上がっている。
コリー・ウォンとメトロポール・オルケストは2020年にアムステルダムで共演コンサート(YouTubeでその全編を視聴することができる)を行っており、その模様はライヴ・アルバム『Live in Amsterdam』としてリリースされているが、今作はそれ以来の共演で初のスタジオ録音作だ。
メトロポール・オルケストはオランダを拠点とする世界最高峰のジャズ・オーケストラで、スナーキー・パピーやロバート・グラスパー、アル・ジャロウ、ジョン・スコフィールド、エルヴィス・コステロといった様々なアーティストたちと共演を重ねてきた。今作でも主席指揮者であるジュール・バックリー(Jules Buckley)による指揮のもと独創的なアレンジで、コリー・ウォンのギターに絡みを入れる。
全編がインスト。コリー・ウォンのスタイルである“リード・リズムギター”の妙技を堪能できる楽曲ばかりで、個性的なオーケストラ・アレンジとも相まってとても格好いい。何よりもポジティヴな空気に満ちており、ファンクという音楽の楽しさを存分に味わうことができる。
Cory Wong 略歴
コリー・ウォンは1985年にニューヨーク州ポキプシーで生まれ、ミネソタ州ミネアポリスで育った。ウォン(黄)というファミリーネームは中国系アメリカ人の家系に由来する。
父親の影響でロックやジャズに触れ、9歳でピアノを習い始めた。10代のときにレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)やプライマス(Primus)に影響されベースとギターを始め、ロックバンドを結成。
大学時代に音楽の道に進むことを決意し、2000年代後半から2010年代前半にかけてジャズに注力し、ミネアポリス・セントポールのジャズクラブで演奏。プリンス(Prince)のバンドのドラマーであったマイケル・ブランド(Michael Bland)とともに演奏するなどミネアポリスのR&B、ファンクのシーンでセッションミュージシャンとして活躍した。
2013年にファンクバンド、ヴルフペック(Vulfpeck)のメンバーと出会い、活動をともにする。その後はソロ活動やドラマーのネイト・スミス(Nate Smith)らと組んだザ・フィアレス・フライヤーズ(The Fearless Flyers)といったバンドでも絶大な人気を獲得している。