北欧ジャズを牽引するエミール・ブランドクヴィスト、作曲家としての新境地に挑む新譜

Emil Brandqvist - Interludes

エミール・ブランドクヴィスト、作曲家としての新境地

スウェーデン出身のドラマー/作曲家、エミール・ブランドクヴィスト(Emil Brandqvist)がソロ名義での新作『Interludes』をリリースした。今作では10名以上の音楽家を迎え、これまで主にピアノトリオ編成で所謂“北欧ジャズ”の人気を極めてきた彼の作曲家としての魅力や深みをより堪能できる作品に仕上がっている。

(3)「The Living Room Conductor」

彼のこれまでの活動は主に自身のピアノトリオ編成によるもので、それによって彼は名声を高めてきたが、その人気の源の大部分はエミール・ブランドクヴィストの楽曲が評価されているという面があった。もはやひとつのトリオのリーダー/作曲家に収まる存在ではない彼が、ピアノトリオというフォーマットに拘らずに新たな楽器編成を試みて制作したのが本作だ。

抒情的で美しい全ての収録曲はエミール・ブランドクヴィストの作曲。アルバムには彼のほかに11名のミュージシャンが演奏に参加しており、その中にはもちろんトリオのレギュラーメンバーであるピアニストのツォーマス・トゥルネン(Tuomas Turunen)とベース奏者マックス・ソルンベルグ(Max Thornberg)も含まれている。ほかにはスウェーデンを代表するピアニストのひとりであるヨーナ・トイヴァネン(Joona Toivanen)が5曲目から10曲目に参加、さらにはエミールの兄弟の木管奏者マーティン・ブランドクヴィスト(Martin Brandqvist)や、ラップスティールギターのフレデリック・ヨハンソン(Fredrik Gicken Johansson)らが参加し楽曲ごとに異なる表情を見せる。

(2)「Skogen」

(5)「Bird Cherry Tree」や(6)「Waiting for the Rain」など、アルバムの中のいくつかの楽曲はエミール・ブランドクヴィスト自身は演奏で参加していない。そういう点でも、本作は作曲家やプロデューサーとしての彼の才能によりフォーカスした作品と言えるだろう。

アルバムのラストを美しく締めくくる(11)「Honeysuckle」ではエミールの父ホーカン・ブランクヴィスト(Håkan Brandqvist)がオルガンを弾き、エミールの妻ニーナ・エワルド(Nina Ewald)が声を添える。

Emil Brandqvist 略歴

エミール・ブランドクヴィストは1981年生まれ、スウェーデンの人口第2の都市ヨーテボリの出身。
2012年にスウェーデンの長編映画『Bloody Boys』と『Vägen Hem』の映画音楽を担当。フィンランド出身のピアニスト、ツォーマス・トゥルネン(Tuomas Turunen)とスウェーデン出身のベーシスト、マックス・ソルンベルグ(Max Thornberg)とトリオを結成し、2013年に弦楽四重奏も加えた『Breathe Out』でデビュー。以降、ジャズやクラシック・クロスオーヴァーの分野で絶大な人気を得ている。

Emil Brandqvist – drums, percussion, Rhodes piano, piano (1, 2, 3, 4, 7, 8)
Max Thornberg – bass (3, 4, 9)
Viktor Turegård – bass (1, 2)
Martin Brandqvist – flute, clarinet, bass clarinet, saxophone (1, 2, 3, 4, 8, 9)
Fredrik Gicken Johansson – guitar, lap steel guitar, bass (5, 7, 9, 11)
Oskar Reuter – guitar, nyckelharpa (4, 9)
Håkan Brandqvist – organ (11)
Tuomas A. Turunen – piano, keyboards, synth (1, 2, 3, 4)
Joona Toivanen – piano, pump organ (5, 6, 7, 8, 9, 10)
Anna Danielsson – violin (11)
Gustav Svedung – voice (5)
Nina Ewald – voice (5, 7, 11)

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